はじめに

旬の野菜をおいしく食べる——それだけで、生活はより豊かになります。

野菜の旬がいつなのか、おいしく食べるための賢い選び方や、上手に保存するためのひと手間について、日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエ・知久幸子さんに教えてもらいました。

今回の野菜は、丸ごと素揚げしてもおいしく、料理の隠し味としても活躍する「にんにく」。その見極め方をご紹介します。


保存方法によって異なる、にんにくの呼び名

日本一のにんにくの産地といえば青森県。青森県のにんにくの収穫時期は6月中旬~7月中旬頃です。

収穫直後から乾燥する前のにんにくを「生にんにく」といいます。水分が多く、瑞々しい香りが特長です。生にんにくの風味を味わえるのは、この短い間だけ。薄くスライスしてカルパッチョに散らしたり、すりおろして醤油と混ぜてお刺身につけて食べるのがおすすめです。

生にんにくをはじめ、にんにくには収穫後の保存方法によって、いくつかの呼び名があります。

収穫後に、約30%の水分を取り除いた状態に乾燥させて出荷したものを「乾燥にんにく」といいます。7月下旬~8月末が旬で、生にんにくよりも風味が香ばしく、甘さが増しているのが特長です。

他にも、乾燥したにんにくを-2℃で冷蔵保管した「冷蔵にんにく」(10月~翌年3月まで)や、同じく乾燥後に-2℃でCA貯蔵(ガス冷蔵)した「CAにんにく」(4月上旬~7月まで)があります。

産地ではさまざまな保管方法を用いて、品質が低下(発芽、発根)しないように策を講じています。それにより、1年を通して品質の良い国産にんにくを手にすることができるのです。

ずっしりと重量感のあるものを選んで

にんにくを選ぶときは、ずっしりと重量感があって、大きさは直径5㎝~7㎝ほど、リン片が5~6片あるものがいいでしょう。

また、上部の茎のところが少し割れている場合もありますが、決して品質が悪いというわけではありません。リン片の内側が膨らんだことによって割れているので、逆にそちらの方がリン片が充実していることになります。

国内産のホワイト六片種に比べて、中国産はリン片が小さく、風味はやや落ちます。素揚げしたときのホクホク感は国産の方が勝ります。また、最近見かけるスペイン産は中国産ほどリン片は小さくありませんが、青森県産に比べて細身です。国産よりも水分が少ない傾向があり、すりおろしたときに舌を刺激するようなピリッとした辛みが強いのが特徴です。

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