私はこれまでがんの早期診断・検診の研究に取り組んできました。「がん」というと、ちょっとひいてしまうという方も多いと思います。
「がんは怖い病気で、とにかく早く見つけて治療してしまえばいい」とお考えになられる方も多いと思いますが、そうとも限らないのです。以前、私が検診で見つけた肺がんの患者さんは、早期だったのですが手術を拒否されていました。
ご親戚の方の説得もあり、結局手術を受け、無事に退院されました。しかし、退院半年後に脳梗塞を発症し一命はとりとめたものの、意識は戻りませんでした。結果的に、この方にとって手術を受けたこと、ひいては検診を受けたことに意味があったのか?考えされられるケースです。このように「がんだから○○」と簡単に決められるほど、単純ではありません。
「がん」という言葉を聞くだけで、ちょっと引いてしまうという人も多いと思います。特にネットの世界では、がんに関してのトンデモ情報があふれているので、さまざまな誤解をされている方も多いでしょう。
たとえば、「がんになったらもう働けない」「がんは遺伝する」「がんになっても、ブラジルの奥地で発見された○○を飲んで免疫力を高めれば手術しないで治すことができる」などなど。専門家からみると、まったく馬鹿げた情報ですが、信じてしまう人もいます。