はじめに
マツダ ロードスターをOEM供給する形で生産・販売されたアバルト124スパイダーの生産が8月末をもって終了しました。単なるOEM車とは大きく異なる独自の性能や世界観を持つこのクルマ。新車は在庫限り、中古車も非常に物件数が少ない中、希少価値がますます高まることは間違いないはずです。
マツダとフィアットのコラボレーション
アバルト124スパイダーは2013年1月にマツダとフィアットが提携したビジネスの中から発生、世界に誇るオープン2シーターであるロードスターをベースに広島にあるマツダの宇品工場で生産されました。
OEM(オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャリング)生産となる124スパイダーですが、これまで日本のメーカーが行ってきたOEMとはレベルが違います。近い部分で言えば、トヨタ86とSUBARU BRZの関係に似ていますが、ロードスターと124スパイダーはそれ以上の差別化を行っているのです。
そもそもエンジンからして違う
124スパイダーは前述したように現行型(ND型と呼ばれています)のロードスターをベースに開発されています。
しかしロードスターが1.5Lの直列4気筒エンジンを搭載するのに対し、124スパイダーは1.4L直4エンジンです。これだけ見ると「パワー不足?」と思われるかもしれませんが実は124スパイダーにはターボが装着されています。スペック云々の話でもないのですが、ロードスターが131馬力なのに対し、124スパイダーは170馬力、さらに最大トルクに関してはロードスターの15.3kg-mに対し、124スパイダーは25.5kg-mと約1.6倍の数値を誇ります。
最大の違いであるエンジンは1.4Lターボで実用域での使いやすさにも定評があります
ただロードスターを擁護するわけではありませんが、この2種類のエンジンは全くといってよいほど特性が違います。
ロードスターエンジンは高回転まで切れ目無く伸びていくフィーリングは精密なハンドリングと相まってスポーツドライビングの楽しさを教えてくれます。
一方124スパイダーは中低速から十分なトルクを発生させることで街乗りなどでも非常にスムーズです。さらに両車とも6速ATが設定されていますが、相性自体は124スパイダーの方が好ましいと思います。