株式投資の候補先選びに「CSR報告書」も参考にすべき理由
財務諸表だけでは十分でない?
企業は業績を改善させて利益を高めないと、投資家の失望を買って株価は下落してしまいます。とはいえ、足元の利益ばかり追求すると、コスト削減のために本来行わなければならない設備投資などが将来に先送りされるかもしれません。もっとひどい場合には、法律などの最低限のルールすら破られる場合もあるかもしれません。たとえば、過去には従業員が無理な労働を強いられたり、検査偽装を行ったり、会計操作をして利益が出ているように見せたりする事象が発生しました。このようなことをする企業に将来はありません。企業は持続的な成長を目指して行動する必要があります。また、企業は社会のマナーを守って行動する必要があります。社会の一員としてのルールを守らない企業は、顧客や投資家から排除される可能性があるからです。企業には労働問題、環境問題などの課題を解決する姿勢が求められています。このような企業や社会が持続的に成長をするための行動を示す国際的な組織が「国連グローバル・コンパクト」です。そして、その実現に向けて努力を継続することを表明する企業が加盟しています。そこで、国連グローバル・コンパクトの加盟企業と株価の関係を調べてみました
「内部告発者を守ること」は株価の動きにどう作用するか
企業倫理と株価の関係を探る
近年、企業の不祥事を耳にする機会が増えました。不正会計、労務管理の問題、情報漏洩や検査偽装など、あらゆる分野で事件が発生しています。昔と比べて労働時間の管理や、顧客情報の管理が厳しくなった昨今では、法令に抵触しないように不正が発生しやすくなっているのかもしれません。とはいえ、検査偽装など昔から行われていたことが、今になって明らかになるケースも少なくありません。これは、昔と比べて内部告発が行いやすくなったからです。日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の失脚も、内部告発が引き金となりました。その背後には、「内部告発の保護」に関して政策(ポリシー)を定め、実践する企業が増えたことがあります。今回は、内部告発保護ポリシーと株価の関係を調べてみます。
「女性が活躍している会社」は株価パフォーマンスも良好なのか
女性活躍推進法の施行からまもなく4年
2016年に「女性活躍推進法」が施行されてから、男女共同参画社会の実現への流れが加速的に進んでいます。女性活躍推進法や男女共同参画社会を、耳にしたことがある方も少なくないでしょう。女性の活躍度合いが低いと、性別の差などもあり「適切な人材の活用ができない」とか「正当に能力が評価されない」といった悪い印象を与えかねません。逆に「女性の活躍が見えてくる企業」であれば世間の評価も良くなり、場合によっては女性のお客さんから「応援したい」と思われ、その企業で商品を買ったり、製品を使ったりすることもあるでしょう。であれば、株式市場でもこうした企業の株価は期待できるはずです。そこで、企業における女性の活躍度合いと、その企業の株価との関係について調べてみました。
「社員研修に熱心な会社」は株価パフォーマンスも好調なのか
“企業は人なり”と株価の関係
パナソニック(旧・松下電器産業)の創業者・松下幸之助氏といえば、「経営の神様」として知られています。代表的な著書『人を活かす経営』の中で、「企業は人なりということがよくいわれるが、まさに、人を育て、その人を十分に活かしていくことが、企業経営の第一の要諦(ようたい:最も大切なところ)といえるのではなかろうか」と書いています。企業が成長して利益を得るには、高い技術を持って良い製品を作ることです。とはいえ、技術を蓄えたり、優れた製品を生み出すのは、そもそも“人”ですから、良質な人材や、その能力を引き出す組織作りが最も重要になります。「人を育てて人を活かす」ことは、どんな組織でも永遠の課題といえます。企業で働く従業員にとっては、仕事をしていくうえで必要な技術を身につけたり、コミュニケーションスキルを高めたりすることが重要となりますが、企業側も積極的に従業員が成長する機会をつくる努力が必要でしょう。そうなると、「社員研修」が重要になってきます。今回は、この社員研修と株価の関係を調べてみます。
「ホワイト企業」は株価パフォーマンスも良好なのか
社会課題に取り組む企業の株価:第1弾
近年、ブラック企業を根絶しようという流れが世の中に広まっています。企業のブラック度を計る際に、最も参考になる指標の1つが「離職率」です。年間離職率であれば、「その年に会社を辞めた人÷年初の従業員数」によって計算されるのが一般的です。世の中でブラック企業を排除しようという考えがあるなら、ホワイト企業が株式市場でも評価されるだろうと考えられます。以上から考えた仮説は「離職率が低い企業ほど、株価が上昇する」ということです。今回は離職率と株価の関係を調べてみます。
企業のペーパーレス化の努力は株式市場でどう評価されるか
環境問題と株価:第5弾
「ペーパーレス化」というと「随分昔から聞いてきた言葉だ」と思う方も少なくないでしょう。1970年代にマウスを使って操作する初めてのPC、米ゼロックス「アルト(Alto)」の登場の辺りから、世界的に言われるようになったようです。アルトを使えば、別の場所の人と共同で資料が作成できたり、印刷をしなくても画面で情報の共有ができるようになりました。将来はオフィスで紙が使われなくなり電子化される、などとも言われていました。しかし、実際には、環境整備に多くの費用がかかるといった問題だけでなく、画面が今とは格段に劣っていて使いにくいことや、持ち運び面などの技術的な問題、そして特に日本では文書の決裁は紙に印鑑を押すことが一般的であることなど、多くのハードルがあり、電子化は進みませんでした。一方、2000年に入ってからのペーパーレス化といえば、むしろ私たちの身近なところで感じる場面が多くなったかもしれません。交通機関を利用する時は紙の切符はめったに使わなくなり、書籍や新聞を電子版にする人も多くなりました。インターネットや電子決済が普及する中で、環境問題への配慮からゴミを減らそうという考えも広がりました。企
「ボーナスの増減」から占う、2020年前半の日本株相場の先行き
世間の懐事情を投資に生かす
ボーナスシーズン到来です。最近は、ボーナスは年1回夏季だけとか、制度自体を取り入れていない会社もあったり、職制的に受け取れない方も少なくなかったりします。「ボーナスの話をされても他人事」と思うかもしれません。とはいえ、ボーナスの動向は景気を適切に反映します。景気動向を知って株式投資に結びつけるには、ボーナスがどのような水準なのか、増えたのか減ったのかを知っておく必要があります。
企業の「省エネ活動」が個人投資家の運用成績にも影響しうる理由
環境問題と株価:第4弾
世界的に環境破壊が大きな問題として注目される中、環境問題の解消に向けた取り組みを強める企業の株式に投資しようという機運がみられます。こうした企業に投資することで、その企業が行う環境対策事業を支援する、という趣旨があるからです。環境対策にはさまざまなものがあります。近年、最も注目されているのは、地球温暖化を抑えるために温室効果ガスの排出を削減することです。企業が排出するCO2(二酸化炭素)を減らすには、そもそも使用する燃料を減らすことがより本質的といえます。使用する燃料を減らせば、CO2が減るからです。使用燃料を減らすということは、実は企業の利益拡大にもつながります。燃料のコストを減らせるからです。つまり、使用する燃料を減らす努力をする企業は直接的な企業価値の面でも株価の好パフォーマンスが期待できます。そこで今回は、燃料などのエネルギー消費量を削減する努力をした企業について、その後の株式パフォーマンスを観察してみます。
投資先選びの新基準?「水の使用量を減らした会社」の株価が好調な理由
環境問題と株価:第3弾
近年、「食料不足」と並んで、将来に向けた世界的な大きな懸念の1つとされているのが「水不足」です。社会科学の分野には「仮想水」という考え方があります。その国が輸入している農畜産物や工業製品を、国内で生産するとした場合に必要な水のことです。実は、日本ではこの仮想水の輸入がとても多い国です。それもそのはず、食料の多くを輸入しているからです。となると、「世界的な水不足 → 農産物が十分に供給できない → 日本の農産物の輸入ができなくなる → 日本の食糧不足」ということが心配されます。将来に向けて、私たちも水資源を大切にしていかなければなりません。こうした姿勢は企業にもみられます。環境への配慮から「水使用の削減」を目標にする企業があります。排水を浄化して再利用したり、雨水を利用することなどで効率的に水を利用しようとの試みがなされています。このような環境に対する企業の姿勢は、株式投資においてとても重要な観点です。いったいどういうことなのか、水使用の削減と株価との関係について考えてみたいと思います。
ゴミ排出量を削減した企業の株価が好調である“納得の理由”
環境問題と株価:第2弾
大型台風による甚大な被害が毎年のように起こるようになってしまいました。海水の温度が上昇したことで、強大な台風が発生しやすくなったともいわれます。地球温暖化をストップするための努力が待ったなしの状況です。地球温暖化の原因の多くは、人間が活動することにより排出される温室効果ガスの増加です。そして近年、温室効果ガスの削減に向けた企業の努力が期待されています。9月27日の連載では、温室効果ガスの削減をした企業の株価は上昇することを紹介しました。温室効果ガスの削減は地球温暖化対策の国際的な取り決めもあり、「2030年度は2005 年度比で25.4%の削減」という日本政府の目標があります。この目標に整合して活動できる企業は長期的に収益面でも余裕があり、それが株高につながるということは理解できます。そこで今回は、環境と企業の姿勢に関して、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。少し言い過ぎかもしれませんが、より企業が自主的に環境について考えているかという観点でいえば、たとえば「会社が排出するゴミの削減」が挙げられます。
ダンスが流行ると株価も踊る?「ダンス注目度」から日経平均の先行きを探る
「スポーツの秋」に考えてみた
10月14日は「体育の日」です。来年から「スポーツの日」と呼び方が変わるので、実は今年が最後の「体育の日」でもあります。10月も中旬になると「秋の長雨」の時期も終わり、カラッと晴れて気持ちが良い「スポーツの秋」の到来です。今年はラグビーワールドカップで日本代表が活躍しているので、例年以上に「運動を始めてみようかな」と思う人も多いのではないでしょうか。いきなりラグビーは難しいかもしれませんが、「気持ちが良い陽気の中で軽くジョギングでも」とか「会社帰りにジムを始めようか」と思う人もいるでしょう。あるいは、この際、ゴルフやテニスとか、マラソンとか、本格的にスポーツを始めようと思うかもしれません。今回は、人気スポーツの1つである「ダンス」を取り上げてみます。実は、ダンスと株価の間には意外な関係があるのです。
国連・気候行動サミットでも注目、「温室効果ガス」の排出を減らした会社の株価の行方
環境問題と株価:第1弾
9月に行われた内閣改造で、環境大臣として初入閣を果たした小泉進次郎氏。その小泉大臣も出席した国連の気候行動サミットで大きな注目を集めたのが、スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥンベリさんでした。若者を代表して演説した彼女は「私たちを裏切る道を選べば許さない」と、強い口調で地球温暖化対策を訴えました。実際のところ、自然災害による甚大な被害が世界的にも深刻になっています。この大きな原因とされているのが地球温暖化です。海水の温度が上昇したことで、強大な台風が発生しやすくなったという分析もあります。こうした流れは、金融市場でも関心が高まりつつあります。近年の株式市場では、環境問題に関して意識が高い企業の株式パフォーマンスが好調である、とみる投資家が少なくありません。そして、まずは企業側の姿勢を測る第一歩として、環境情報を開示する企業の株価が高くなるとの見方もあります。
社外取締役が多ければ良いわけじゃない?会社法改正と株価の盲点
株価に効くコーポレートガバナンス
10月上旬から予定されている臨時国会の最大の焦点といえば、憲法改正の議論とみられます。しかし実は、それ以外にも企業や株式市場、投資家にとって、とても重要な法案が審議されます。会社法の一部改正です。この改正法案は、上場企業などに対して社外取締役の選任を義務化する、というものになります。そこで今回は、社外取締役と株価パフォーマンスとの関係を紹介しましょう。
「女性活躍企業は株価パフォーマンスが良い」は本当か
女性役員比率と株価の関係
政府が行ったさまざまな調査では、「女性が活躍する企業は業績や株価パフォーマンスが良い」という結果が示されています。たとえば、内閣府の「女性の活躍状況の資本市場における見える化に関する検討会」の資料では、米国企業を対象とした分析を紹介して、「女性役員比率が高い企業の方が利益率が高い」と説明しています。経済産業省も「やや古くから女性が活躍している企業の業績が良い」という報告をしています。2003年の男女共同参画研究会の報告では、女性が活躍できる企業は固定観念にとらわれない社風、仕事の実績を正当に評価できるような人事の仕組みがあるから、それが結局は企業の成長につながる、とあります。仕事の成果が上がっても性別などで偏った評価が行われるなど、正当な評価ができない会社では従業員の“やる気”も下がってしまいます。女性が活躍できる企業は、公平で妥当な評価ができるような企業風土があることの表れ、と説明されています。そう考えると、確かに女性が活躍できているような企業は業績も良く、株価も上がると期待されます。学術の世界では、これを「企業固有風土仮説」と呼ぶようです。そこで、今回は「女性役員比率」を使って、株
スポーツを「観る」or「する」、どちらの数が伸びると株高に?
ビッグイベントが目白押し
オリンピック、サッカーワールドカップ(W杯)と並んで世界3大スポーツイベントに位置づけられるラグビーW杯。その2019日本大会の開幕が1ヵ月後に迫りました。ラグビーは球技の中では異質で、タックルなど積極的なコンタクトが許されています。観ていると迫力がありエキサイティングですが、野球やサッカーとは違って小学生がそのままのルールでゲームを楽しむケースは多くありません。ですので、普段は「国民に広く人気」とまではいかないようです。とはいえ、前回の2015年イングランド大会を思い出してみてください。初戦で五郎丸歩選手の活躍もあり伝統的なラグビー大国である南アフリカに勝利したことで、国民の期待が大いに高まりました。スター選手が現れたり、試合に勝つと国民の人気が盛り上がります。これまでさまざまなスポーツで日本開催の時に日本代表が活躍してきた歴史を振り返ると、今回のW杯も大いに期待できるでしょう。そこで本稿では、こうしたスポーツを観るために支出するお金と株価の関係を検証してみます。
カレーvsハンバーグ、夏休み人気メニューを投資に活かすには?
どうなると株高になりやすいか
夏休みシーズン真っ只中。旅行に出かける人も多いでしょうが、お盆期間中はどこも混んでいるし、ゆっくり自宅で休みを過ごす人も少なくないはず。とはいえ、学校も休みの時期になるため、お子さんがいる家庭では「昼ご飯の準備も毎日大変」となりかねません。こんな時期の人気メニューといえば、カレーライスです。このカレーライス、株価と深いつながりがあるのです。実は以前、カレーライスと株価の関係を調べたことがあります。その結果は「カレーライスを食べる人が多いと、株価が高い」というものでした。景気が良いと、仕事が忙しくて料理をする時間もなかったり、レジャーや習い事などさまざまなことに時間を使うなど、金銭・気持ちの両面で余裕が出るため、家庭で作り置きできるカレーが人気になるというのが、その理由でした。しかし今回、もう少し視点を変えて分析してみると、まったく別の結果が見えてきました。
夏のカフェ利用が増えると株で儲かりやすいって本当?
喫茶代と株価の関係
1年で一番気温の高い8月がやってきます。外出時、暑さのためにちょっと一服と思うと、カフェや喫茶店でアイスコーヒーを飲みたくなる人も増える時期です。実は、この喫茶代。将来の株価と関係が強いのです。「それはそうだろう。カフェに入るにもお金がかかることだし、景気が悪くて懐具合が悪ければ、喫茶店に行くのをためらう人も多くなる」と考える方も多いでしょう。まさにその通りなのです。この話のさらに面白いところは、実はこれが将来の株価とも関係があることです。今回は「7月の喫茶代が増えると、8月の株価が高い」について解説したいと思います。
「アイスが売れる夏は株価が高い」には2つの理由があった
今年の夏はどうなる?
関東地方の例年の梅雨明けは7月21日頃。もう少し雨のシーズンは続きそうです。とはいえ、7月は夏本番に向け、気温も少しずつ高くなっていきます。暑くなってくると食べたくなるのが、アイスクリームやシャーベット。午後のおやつにアイスが食べたくなったり、夕食後にシャーベットを食べる人も増えてきます。ところで、このアイス。景気や株価と意外な関係があるようです。今回は「アイスを食べる人が多い夏は株価が上がるメカニズム」を解説したいと思います。