はじめに

IR資料は、プロと同じ情報に無料でアクセスできる貴重な判断材料。数字だけでなく、成長戦略や株主への姿勢など、企業の本質が見えてきます。本稿では「決算説明資料」(決算資料)を中心に、IRをどう読み解き、投資判断に活かすかを整理。初心者でも実践しやすい視点と、成長戦略を読み取るヒントを紹介します。


IR情報を“投資のプロ”と同じ目線で活かす

投資においてプロと個人の大きな差は、情報の使い方にあります。実は、ファンドマネージャーなど投資のプロたちが使っている情報の多くは、個人投資家にも平等に開かれているものだからです。

なかでも注目すべきは、企業が投資家に向けて開示するIR(インベスター・リレーションズ)情報です。IR資料は、誰でも無料でアクセスできますが、読み解くスキルに差があるために、投資判断に差が出ているのが現状です。

では、私たち個人投資家はIRとどう向き合い、どのように読み解けばよいのでしょうか。本稿では、IRの本質を捉えつつ、実際の投資判断に活かす視点をお伝えしていきます。

最初に読むべき「決算説明資料」とは

なぜIR資料に注目すべきかというと、無料で手に入る、最大かつ信頼性の高い企業情報だからです。企業が投資家に向けて発信する公式なメッセージであり、数字だけでなく、どの事業に注力しているか、成長戦略、配当方針、株主への姿勢などが、企業自身の言葉で語られています。

そんなIR資料の中で特に押さえておきたいのが「決算説明資料」(決算資料)です。これは企業が四半期ごとに作成するプレゼン形式の資料で、業績のポイントや戦略の概要、注力事業の進捗が視覚的に整理されています。グラフや図解が多く、初心者でも親しみやすい構成です。

「決算説明資料」は最初の3ページだけで、企業の姿勢が見えてくることがあります。例えば、事業内容や企業理念から始まる会社は、まず「自社を知ってもらう」という姿勢を示しているといえます。まだ知名度が低い企業や、上場して間もないグロース市場の企業、BtoB企業などもこの構成を使うケースが多いでしょう。

業績の振り返りから始まる会社は、知名度が高い企業や、業績に自信のある企業が多いです。任天堂(7974)、ソニーグループ(6758)などはこの形です。

理念・ビジョン・戦略から始まる会社もあります。これは成長性に自信のある企業だといえるでしょう。グローバルリンクマネジメント(3486)などはこの形です。

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