早いもので2018年が始まってから、もう3週間が経とうとしています。マスコミ各社が年末年始に発信する経済予測の記事も、そろそろ出尽くしたタイミングではないでしょうか。

言葉の観察が生業(なりわい)である筆者としては、このような予測記事も貴重な観察対象となります。記事のなかに「経済予測ワード」がよく登場するからです。例えば前回の記事で紹介した「ゴルディロックス相場」(適温相場)という表現もそのひとつ。また相場格言である「戌(いぬ)笑う」(戌年の相場は活気づくという経験則)もよく見かけました。

そしてこの種の「経済予測ワード」のなかには、記者・識者などが作ったオリジナルの造語もあります。そこで今回は年末年始のメディアで登場した「2018年の経済予測ワード」をいくつか紹介しましょう。


GDP(フジテレビ「THE NEWS α」)

まずは、フジテレビの夜のニュース番組「THE NEWS α」が発信した言葉から。

同番組の2018年1月1月8日~10日放送分では、2018年の経済予測ワードとして「GDP」という表現を紹介しました。もちろんこれは国内総生産(Gross Domestic Product)とのシャレ。その心は「今年の経済成長に必要」と番組が考えている3要素を表しています。すなわち、「グローバル」(global)、「デジタル」(digital)、「パーソナル」(personal)の3要素です。これらは同番組が各企業のトップに対して行ったインタビューのなかで見えてきたポイントなのだそうです。

このうちグローバルでは、主に米トランプ政権の動向について触れていました。「同政権の税制改革が日本企業にどんな影響を与えるのか」に注目しているといいます。またデジタルでは、フィンテック(金融分野における情報通信技術の応用)、シェアリングエコノミー(共有経済)、AI(人工知能)などの技術トレンドに注目していました。さらにパーソナルでは、体験型消費などを通じて個人消費を喚起させることの重要性について触れていました。

トリプル3万(みずほ総研+日経)

シンクタンク界における年末年始の風物詩に「びっくり予想」があります。

きたる年の経済に起こりそうな出来事のうち、世間的には実現確率が低いと思われる怪しい予想――でも予想者自身はまんざら大嘘でもないと考えている予想――を発表する試みです。年末年始の経済メディアでは、こういったびっくり予想の内容もよく紹介されます。

びっくり予想の元祖は、米投資会社ブラックストーン・グループ(The Blackstone Group)のバイロン・ウィーン氏が、1986年以来、毎年発表しているThe Ten Surprises(テンサプライズ=10大びっくり予想)なのだそう。この予想ではかつて、ITバブル(1990年代末期から2000年代初頭の米国株式市場で起こったネット関連企業株の異常高騰現象)の崩壊も当てたのだとか。

これにならい、みずほ総合研究所(以下みずほ総研)、大和総研、大和住銀投信投資顧問、ウィズダムツリー・ジャパン、サクソバンク証券といったシンクタンクや証券会社なども、それぞれ独自のびっくり予想を発信しています。

このうちみずほ総研(注:同社はこの予想を「とんでも予想」と呼んでいる)は、今年の予想として「日経平均の3万円突破」「ダウ平均の3万ドル突破」「ビットコインの3万ドル突破(そのあとのクラッシュ)」などの項目を挙げていました。この予測を指して日本経済新聞の記事は「トリプル3万」という見出しを付けています(日本経済新聞2017年12月29日「『びっくり予想』で読む2018年、なるか『トリプル3万』」)。