ある物価指数が上昇を続けています。企業と企業が取引する商品の価格水準を示す「企業物価」です。

日本銀行が1月16日に発表した2017年12月の企業物価指数は、前年同月に比べて3.1%高い100.1でした。前年同月比でプラスとなるのは12ヵ月連続。2017年通年で見ても98.8となり、前年比でプラス2.4%と3年ぶりの上昇となりました。

米国、中国をはじめとした世界的な好景気によって、原油や石炭、鉄鉱石など資源価格が上昇した影響が出ています。円安が進んだことも、国内の企業物価を押し上げる要因となっています。輸入物価は前年同月比で7.1%上昇しています。

このような物価上昇は、私たちの生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。


企業物価から消費者物価への波及経路

冒頭で触れたように、企業物価は企業間で取り引きされる商品の価格水準を示しています。私たちが直接買うモノの価格ではないので、直接の影響はありません。

私たちが買うモノやサービスの価格の変化は「消費者物価」に現れます。消費者物価指数(エネルギーや生鮮食品を含む総合指数)は、昨年11月時点で前年同月比0.6%しか上昇していません。

ただし、企業物価の上昇は時間をかけて消費者物価に波及していく傾向があります。

日本企業は、原材料価格の上昇をコスト削減の努力によってなんとか吸収し、製品価格を上げずに、がんばります。どうしても原材料価格の上昇を吸収しきれなくなると、製品価格に転嫁します。そうなると、消費者物価も少しずつ上がってくるわけです。

一部のモノは値上がり傾向に

中には、原材料価格の上昇を即時に製品価格に反映する仕組みを作っている産業もあります。ガソリンがそうです。

石油精製業界は、原油価格上昇や円安進行によるコスト増があれば、毎月、卸売り価格を機械的に引き上げます。したがって、ガソリン価格は、消費者物価指数とは異なり、価格変動が激しくなります(下図)。

ガソリンのように、輸入に依存する比率が高い商品ほど、早く値上がりする傾向があります。食料品も最近、輸入物価の上昇と天候不順の影響で値上がりが目立ちます。

“サービス・インフレ”拡大の可能性

ついに日本でもインフレが復活しつつあるのでしょうか。確かに、一部でモノの値段は少しずつ上がってきました。しかし、今後も上がり続けるとは必ずしもいえません。

製造業では、一時的に供給が不足しても、すぐに大量生産されて、供給過剰に陥ることが常態化しています。資源価格も今は上がっていますが、原油など天然資源も技術革新によって大幅な増産が可能になり、供給過剰が続いています。

一方、これから継続的に価格が上昇すると考えられる分野があります。サービス業です。

モノは構造的に供給過剰になってきましたが、良質なサービスは構造的に供給不足です。医療、介護、保育、宅配便、建設土木、警備などの分野では、増大する需要をまかなうのに必要な人手が確保できないからです。

今後、サービス業を中心に料金の引き上げ、つまり“サービス・インフレ”が広がる可能性があります。