はじめに

三菱東京UFJ銀行とKDDIが共同出資し、2008年に設立された、じぶん銀行。フィンテックという言葉が生まれる約10年前から、携帯電話やスマートフォンに特化したネットバンクとしてスタートし、その地位を確立してきました。

特徴は、取引のすべてが完結するスマートフォンアプリ、キャッシュカードを使わずに、スマートフォンのみでATM入出金を利用できる「スマホATM」、ネットバンクならではのおトクな金利・手数料など、ユーザー視点を追求した商品・サービスを提供していることです。

そんな同社が2017年6月にリリースしたサービスが、為替の動きを予測する「AI外貨予測」です。「AI外貨予測」は、為替予測や外貨預金にどのような変化をもたらすのか、執行役員の榊原一弥氏にお話を伺いました。


ゼロ金利政策により外貨預金市場は拡大に転じる

——まず現在の外貨預金市場の動向について教えてください。

外貨預金は、一般的に銀行預金者の1割程度にあたる約600万人という、まだ一部の人しか利用していない商品と言われています。2007年頃までは米ドルの金利が高く、日米金利に大きな開きがあったため、外貨市場は大きく成長しました。しかしその後、世界的な低金利が10年以上続いており、外貨預金の魅力は低下。新たに外貨預金を始める人も減少しました。

とはいえ、日本においては、円預金の利息がほとんどつかない状態が続いているため、2016年頃より外貨預金市場は拡大に転じています。2000年代前半と比較すると、米ドルやユーロは金利の魅力が低下していますが、豪ドルや、南アフリカランドなどの通貨はまだ外貨預金としての高金利の魅力が十分にあります。

徹底したユーザー視点から生まれた「AI外貨予測」

——そうした外貨預金市場のなかで、じぶん銀行は「AI外貨予測」を開発されました。どういった背景があったのでしょうか。

対面での取引がない分、アプリのUI/UX(お客さまの使いやすさ)にこだわり、24時間いつでもどこでもスマートフォンで取引できる利便性を追求し、金利や為替手数料も比較的有利に設定しました。他行に先駆けて高金利な通貨ラインナップを揃えているので、外貨預金に魅力のある銀行ではないかと自負しています。

一方、当行で外貨預金をご利用いただいていないお客さまにアンケートを取ってみると、意外にも「外貨預金に興味はあるけれど、始めるタイミングがわからない」との声が非常に多かったのです。

そこで私たちは、外貨取引を始めるタイミングを人工知能がアドバイスする「AI外貨予測」を開発しました。これにより、外貨預金でお客さまが期待するリターンを得るためのきっかけをつくり、外貨預金の魅力を高めることに繋げたいと考えています。

買い時の通貨が直観でわかる「AI外貨予測アラート」

——「AI外貨予測」では、具体的にどのようなことができますか?

まず、じぶん銀行アプリを開いて「AI外貨予測」をタップすると、通貨ごとに、1時間後、1営業日後、5営業日後の為替予測が表示されます。表示は、為替が上がる(円安方向)か下がる(円高方向)かの予測を笑い顔や泣き顔といった、顔アイコンの表情で表現しています。

さらに、顔アイコンをタップすると、AIが予測した高値、安値、終値の上昇確率を数値で確認することができます。また「AI外貨予測アラート」という機能も含まれており、5営業日後の終値の上昇確率がより高いと予測された場合、スマートフォンにプッシュ通知が届き、取引のタイミングを逃しません。

この「AI外貨予測アラート」の的中率は、77.7%(※1)となっています。お客さまの外貨取引をサポートすることはもちろん、これから外貨取引を始めるお客さまにも、きっかけを提供できるのではないかと思っています。

※1じぶん銀行調べ(2017年6月28日~2017年11月30日)