読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。


年金、養老、終身などの保険で貯金していて、手元のお金は50万円ほどしかありません。手元にどれくらい残したらよいのでしょうか。また、今後は積極的に運用をした方がいいのでしょうか。教えてください。

〈相談者プロフィール〉
女性、38歳、未婚
職業:会社員
居住形態:賃貸(一人暮らし)
手取りの世帯月収:18万円
毎月の支出目安:18万円

花輪: 資産が保険に偏り過ぎています。

預け先は目的別に3つに分ける

お金の預け先は最低でも3つに分けましょう。(1)すぐに使うお金、(2)貯めるお金、(3)育てるお金です。

(1)には最低でも3ヶ月分の生活費を置いておきましょう。このお金は普通預金など引き出しやすい形にしておきます。

(2)に関してはマイカー購入の頭金など、近い将来使うために貯めるお金になります。使う目的に合わせた期間の定期預金、解約ができる投資信託などを利用するとよいでしょう。子供の教育費など、必要な期日と金額が決まっていて元本を減らせない場合は、定期預金や個人向け国債など、元本の安全性が高い資産で保有することをおすすめします。

(3)に関しては老後資金など、中長期的に資産運用をして育てるお金になります。

「年金、養老、終身など保険で貯金していて」ということですが、保険は貯金と違って、早期解約をすると払い込んだ金額よりも戻るお金が少なくなるリスクがあります。長期間お金を置いておかなければいけないので、(3)に当たるお金になります。

相談者の方は、(1)が目安のギリギリで、(3)の割合が高いですね。(2)に関して、数年以内に必要な大きなライフイベントがないなら(3)のお金をメインにしてもよいですが、これ以上保険の割合を増やさずに換金しやすい資産を増やした方がよいです。

老後までに備えたいお金は2,000万円?

次に、リスクを取って積極的に運用をした方がよいのでしょうか。

それを把握するにはゴールから逆算をして考えてみましょう。たとえば、ゴールが「老後資金」だとします。貯金で老後資金を貯められるのであれば、必ずしも運用をする必要はありません。

また、老後資金としていくら蓄えておきたいのかを考えましょう。まったく見当がつかないという人は平均的なデータから算出をしましょう。

家計調査(2017)によると、高齢単身無職世帯の家計収支は月の支出が約15万円に対して、年金などの月の収入が約11万円なので、約4万円の赤字になっています。年間に換算をすると、48万円の赤字ですね。65歳に年金の支給を開始するとしたら、90歳、100歳近くまで生活費の赤字をカバーしなければなりません。

生活費の不足だけでも、90歳までの25年間で換算すると1,200万円、100歳までの35年間で換算すると1,680万円を貯める必要があるのです。加えて、介護などの予備費に500万円と想定すると、2,000万円近くを老後資金に備えておきたいことが分かります。アーリーリタイアしたいなどで働かない期間が長期化する場合は、さらに多くのお金を準備しておく必要があります。

老後資金はどうやってつくる?

2,000万円というと非常に大きなお金に思えますが、退職金、確定拠出年金、保険で受け取れるお金などを合算した後に不足分を貯めていく形になります。たとえば、保険で受け取れるお金が500万円、退職金が1,000万円だとすると、自分で積み立てるお金は500万円といった形です。

現在38歳なので65歳まで働くとすると、27年あります。毎月1.5万円程度を貯金するペースなら、運用をしなくても約500万円になります。

まずは保険の満期時の受取額、退職金の金額、年金額などを調べるところから始めましょう。年金額はねんきんネットで試算することも可能です。

また、生活費の見直しをして月々捻出できる金額を増やす工夫をすることも大切です。すでに支出は多くないですが、通信費など細かい部分も含めてムダがないかを見直してみましょう。

新しく始まった「つみたてNISA」は確定拠出年金と違って、いつでも売却をすることができます。相談者の資産配分から考えると、自由度が高い「つみたてNISA」を活用させるのも1つです。