はじめに

1週間後にゴールデンウィーク(GW)がやってきます。待ちに待った方も多いことでしょう。土曜と日曜に仕事がお休みという読者の方にとっては、今年のGWは祭日の並びが絶好なので、5月1日と2日にも有給休暇が取得できれば9連休になります。

3月の年度末の決算やら、新年度入りでバタバタだった方々にとってみると、お仕事も一段落したタイミングで、GWはゆっくりとお休みができる楽しみな時期ですよね。どこも混んでいて、家でゆっくりと過ごしたいと思う方もいるでしょう。あるいは、せっかくの連休、旅に出て気分転換したいと考える方も少なくないかもしれません。

実は、今年のように9連休も取れる人が少なくない年には、特に株式市場ではGWが注目のテーマになります。

旅行客が増えそうという思惑なら航空会社の株価が注目されたり、入園者が増えそうだと見込まれるなら遊園地やテーマパークなどに関心が高まります。ただ、この手のGWの注目株は、前からお休みのスケジュールがわかっていることもあり、どの時期で株価が買われるのか、今ひとつわからないため、投資タイミングが難しいものです。

また実際には、GWが雨天続きだとテーマパークの客足にも影響するため、期待ほどの入園者数にならなかったりもします。ですので、いつ投資したらいいか、本当に投資してよいのか、見極められません。GWを投資に活かすなら、どのように考えればいいのでしょうか。


「サンタラリー」が起きるカラクリ

株式市場には、知る人ぞ知る経験則がいくつかあります。ちょっと季節外れにもなりますが、有名な経験則「サンタクロースラリー」を紹介しましょう。例年、12月24日辺りから年末にかけて株価が好調という経験則がサンタラリーです。

クリスマスイブにサンタが投資家に株高というプレゼントを届けてくれるということにちなむもので、米国のウォール街ではよく知られています。日本でも、同じように年末にかけて株高になりがちなことを「掉尾の一振(とうびのいっしん)」と呼びます。

こうした経験則を業界では「アノマリー」と呼びます。アノマリーは明確な理論や法則で説明できるものではありませんが、一応こうではないかと考えられている理由があります。

では、サンタラリーがなぜ起こるのでしょうか。背後には、外国人投資家の投資動向があるのです。多くの外国人の投資家は12月半ば頃から、クリスマス休暇に入り始めます。年末までの2週間程度が休暇となり、旅行などを楽しむ投資家が多いようです。

ところが、この休暇中に何か相場に大きな影響を与えるビッグイベントがあるかもしれません。とりわけ、投資家の中でも、臆病というと言い過ぎかもしれませんが、心配性な方は休暇中のイベントに対して、売りの対応ができないため、休暇に入る前に、持っている株式のポジションを整理(売り)してしまいます。

そうなると、クリスマスまでには、こうした外国人投資家のポジションの売りが一巡してしまいます。そして、クリスマス後は臆病な投資家の株式の保有が減っており、市場に参加していないために、何かのニュースにも行き過ぎた弱気な反応を出して、売りを出す投資家が少なくなるのです。

これがクリスマス時期に株価が堅調に推移する理由ではないかと考えられています。

大型連休の谷間は株価が高い傾向

こんな話をすると、「おいおい、今回のテーマはサンタラリーじゃないだろう。GWの話をしてくれ」とお怒りの読者いらっしゃるでしょう。しかし、これらの間には深いつながりがあるのです。

GWも、サンタラリーと似た現象が起こります。臆病な投資家の参加が減ることでサンタラリーが起こるのと同じように、大型連休期間にも連休の谷間の営業日に株価が高くなる傾向があるのです。私はこれを「ゴールデンウィークラリー(GWラリー)」と呼んでいます。

実際に確認して見ましょう。1988年から去年までの30年間の日経平均株価のデータを使って、大型連休の谷間の騰落率を見ることにしました。

一般にGWというと、連休を中心とした1週間を指します。ただ、今回の分析では連休の谷間の騰落率に注目したかったので、集計に工夫をしました。

たとえば、去年の大型連休を例に挙げると、4月29日と30日が土日のお休みで、5月1日と2日は通常の営業日、その後の3日から5日連休となっています。この場合には、連休の谷間の騰落率は、29日の騰落率を含んで30日までの2日間の騰落率としています。

ちょっと、集計方法がややこしいですが正確にお伝えしたかったため、くどい説明になってしまいました。ただ、基本は連休の谷間の営業日に株価が上昇したか、それとも下落したかを30年間集計したのだな、と思ってもらえれば、それで十分です。

教育資金や老後資金は失敗できない!あなたが今からできる資産形成の始め方、お金のプロに無料で相談![by MoneyForward]