はじめに

新入社員やすでに社会人2、3年目のみなさんの中には、大学生や大学院生時代に、「学生納付特例制度」を使っていた人も多いはず。「学生納付特例のその後」によって、老後の年金はもちろん、今、納める税金まで変わることをご存知ですか?


学生の特権「学生納付特例制度」

大学生や大学院生などの学生であったとしても、日本に住む20歳以上60歳未満の人は、国民年金保険料、月額約1万6,000円を納めなければなりません(平成28年度は1万6,260円、平成29年度は1万6,490円)。

でも、いくらアルバイトに精を出しても、自分の遊ぶお金や学費などを賄いつつ、毎月の国民年金保険料を納めるのは、大変なこと。そこで、前年のアルバイトなどの給与収入が、合計194万円以下の場合は、「学生納付特例」を申請することができる制度が用意されています。

「学生納付特例」を申請した人は、その間の国民年金保険料を納めていなくても、もしも障がいを持ったときには障害年金を受け取ることができましたし、老後の年金を受け取るために必要な最低10年の期間にカウントできたのです。

では、ここで問題です。あなたが「学生納付特例」を利用していた場合、これからどうしますか?

①何もしない
②いつかは納める予定
③今、納める

あなたが答えた番号で、あなたの未来が変わるのです。

選択肢は3つ

老後に国民年金から受け取る年金は、国民年金保険料を納めた期間と、会社員として厚生年金保険料を納めた期間によって決まります。20歳~60歳の40年間納めた場合は、1年あたり国民年金から老齢基礎年金として、77万9300円(平成30年度。以下、約78万円)を受け取ることができます。ただし、「学生納付特例」を使ってそのまま放っておくと、学生納付特例期間中の老後の年金は、カットされてしまうのです。

「①納めない」という選択肢を選んだあなたへ

納めないあなたは、老後の年金が減額されます。その金額は、納めなかったひと月に対して、約1600円です。つまり、2年間(24か月)学生納付特例を利用し、その後、納めなかった場合は、約4万円の年金がカットされ、その減った年金が一生続きます。

若い皆さんの中には、「払わなくても、4万円減るだけか」と思う人がいるかもしれません。最低賃金で計算すると、この4万円は、毎月4時間分の労働に値します。また、平均的な老後の生活であれば、水道光熱費と交通通信費の合計金額に該当する金額でもあります。

20代の今考える4万円の価値だけでなく、80歳や90歳になって、働くことができなくなったり、病気で入院が続いたりしたときの4万円の重みも想像してみてください。

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