はじめに

国税庁の民間給与実態統計調査(2016年)によると、給与所得者の平均給与は422万円。年収400万円なら、ごく平均的な生活水準になるでしょう。いわゆる人並みの暮らしができそうです。この年収が、もしも500万円になったとしたら、暮らし向きはどのように変わるのでしょうか。100万円の差がもたらすインパクトは決して小さくありません。趣味やレジャーに使えるお金が増え、ワンランク上の生活が実現できるでしょう。

しかし、年収が増えたとしても、使い方を間違えて浪費に消えてしまったらもったいないことです。使えるお金が増えたときの、理想的なお金の使い方について考えてみましょう。


年収400万円と500万円の手取りの違い

まず、年収400万円と500万円では、手取り金額はどのくらい違うのでしょうか。30代独身の会社員(東京都)で、給与とは別に、ボーナスが夏と冬あわせて月給の3ヵ月分出るとしてシミュレーションをしてみます。

給与(シングルの場合)

年収400万円 年収500万円
給与の額面金額270,000円340,000円
健康保険13,860円16,860円
厚生年金25,620円31,110円
雇用保険810円1,020円
所得税5,780円8,040円
住民税14,000円19,000円
控除合計60,070円76,030円
手取り金額209,930円263,970円

扶養家族がいないシングルの場合、税金は高めになります。また、社会保険料や住民税は、都道府県によっても異なりますが、手取りの金額は額面の75~80%が目安です。月の手取りは、年収400万円であれば約21万円、年収500万円では約26万円。その差は約5万円です。年収が100万円上がると、手取りは5万円増えるというイメージです。

ボーナス(シングルの場合)

年収400万円 年収500万円
ボーナスの額面金額760,000円920,000円
健康保険37,500円46,000円
厚生年金68,625円84,180円
雇用保険2,250円2,760円
所得税39,305円80,358円
控除合計147,680円213,298円
手取り金額612,320円706,702円

収入が増えると、社会保険料や税金も増えます。そのため、手取り額は年収400万円では約61万円、年収500万円では約71万円となり、その差は約10万円です。

手取り比較

年収400万円年収500万円
年間の手取り合計313万円約383万円

年間の手取り額の合計は、年収400万円では313万円、年収500万円では約383万円、差は70万円になります。

生活費の違いはどこに表れる?

手取り額の違いは、生活費のどのようなところに表れるのでしょうか。月給の13%は貯蓄、35%を住居、残りをその他消費支出とした場合の支出割合から、実際の金額を見てみましょう。

項目構成比(%)年収400万円 年収500万円
食 料153万1500円3万9600円
住 居357万3500円9万2400円
光熱・水道48400円1万600円
日用雑貨24200円5300円
被服・はきもの51万500円1万3200円
保健・医療36300円7900円
交通・通信102万1000円2万6400円
教養娯楽51万500円1万3200円
交際費51万500円1万3200円
その他36300円7900円
貯蓄132万7200円3万4300円
合計100.020万9900円26万4000円

(総務省「家計調査報告書(家計収支編)2017年」を参考に筆者作成)

生活費は月給でまかない、ボーナスは大きな買い物や、将来のための貯蓄にまわすようにするのが堅実に貯めるポイントです。勤務先の業績によっては、ボーナスの減額もありえますので、ボーナスをあてにして生活費を支出するのはリスクがあります。そこで、年収ごとの手取り月給から、生活費を計算しました。年収400万円でも生活していけますが、やはり500万円にアップするとゆとりが生まれます。

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