はじめに

実際に社会に出て百戦錬磨な中堅ビジネスウーマンのような女性はさておき、女子学生やまだ若い社会人女性、これまで狭い世界で勤務してきた、といった女性から時々、統計的には驚くような年収希望が飛び出すことがあります。

これも自ら「壮大な夢を描いている」ことを本人が意識しているならば、さほど問題はありません。しかし、「私、他の条件はかなり譲歩してみました!」という意識が読み取れる場合、これは“ないものねだり”に気がついていないからこその前向きさ、ということになります。

ある結婚相手募集中の20代前半の女性が、こんな希望を持っていました。彼女は自称「見た目は中の下」であり、そのため「男性の見た目は清潔であれば気にしません。太っていてもいいんです。年齢も39歳までで募集です」とのことでした。

彼女にとって、これは「大きな譲歩の結果」という印象でした。しかし、次に「年収は550万円から600万円以上で希望しています」と付け加えられていました。

はたして、これは無茶ぶりな“夢”なのか、それとも妥当な“目標”なのか。今回はこの希望の実現可能性を統計データから見てみることにしたいと思います。


男性の「最終学歴×年齢」から見た平均年収

最初に、今回使用するデータの説明をしておきます。データは厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の最新版(2017年)です。中でも、労働者として一般的な「民営事業所の正社員・正職員」について見ています。産業分類としては「全産業平均」です。

ちなみに非正規社員については、結婚マーケットでは男女とも安定感がないためか、人気がありません。結婚希望者は男女限らず、パートナーの年収条件を言う前に、自らの条件として修正可能であれば修正しておきたいステータスとなっています。

逆にいえば、「非正規職員でもいい」と言ってくれる異性は男女とも「大変貴重な相手」だという認識も、結婚マーケットにおいて必要です。

それでは、下の表を見てください。彼女は相手の男性の年齢を39歳まで、としているので下段1列目までが対象となります。日本の賃金は年功序列制が色濃いため、やはり最も年齢の高い35~39歳の列が一番高額の給与取得者となります。

また、中卒から院卒男性までで405万円から589万円という幅はありますが、彼女が希望している年収を平均的にヒットしているのは「大卒・院卒の男性のみ」ということになります。

100人中6人というレアキャラだった

この結果について、統計的に解説をしてみます。

まず39歳までの男性、という時点で、国のビッグデータの調査対象となった全年齢の1,311万人もの働く男性のうち、すでに42%に絞られました。さらに、その中で最も平均給与が高い35歳から39歳の男性となると13%に減少します。そして、この年齢ゾーンで大卒・院卒の男性となると、全体の6%でした。

調査対象になった民間勤務の正社員男性は1,311万人もいたものの、彼女の希望にかなう男性は、見た目がどうであろうと、清潔感がどうであろうと、他の条件を何も入れなくても、すでに78万人に減少します。平均的には100人出会って6人、50人出会って3人、というレベルのハイスペック男性であることがわかります。

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