はじめに

前回の記事では、住民税については1円でも副業収入の所得があれば、申告が必要だということをお伝えしました。

今回は、副業でみんないくら稼いでいるのか、赤字の場合は申告は不要なのか、所得20万円超なのに申告を忘れてしまったらどうなるのかについて、解説していきたいと思います。


実際、みんな副業でいくら稼いでる?

実際のところ、副業をしているビジネスパーソンはいくらぐらい稼いでいるものなのでしょうか。

転職支援サービスのエン・ジャパンが、20代~40代の正社員3,111名を対象に実施した調査によれば、副業経験のある方のうち、月間の副業収入が「1万円以上~3万円未満」であると回答した人が25%、「3万円以上~5万円未満」が22%と、1万円以上5万円未満が全体の約半数を占めるという結果が出ています。

(出所)エン・ジャパン株式会社

年額にすると12万~60万円を稼いでいることになり、所得税の確定申告の要不要を判定する20万円の基準が、ちょうどそのレンジに収まっていることがわかります。

ちなみに、同調査では、「副業をする際に難しかった(難しそうだと思う)こと」を経験者と未経験者に分けてアンケートをとっています。すると、1位は「時間管理」(経験者:64%、未経験者:67%)で、2位に「確定申告など、事務作業に関する知識・処理」(経験者:31%、未経験者:50%)という結果が出ています。

(出所)エン・ジャパン株式会社

このアンケートが面白いのは、確定申告などの事務作業について、経験者よりも未経験者の方が約20%も多く難しそうだと回答していることです。確定申告は、やってみれば意外と簡単だということが読み取れますね。

所得がゼロまたは赤字の場合、申告は不要?

何度もお伝えしているとおり、確定申告では収入から経費を差し引いた年間所得をベースに、税金の計算を行います。

収入から経費を差し引いた結果がゼロまたはマイナスになるときは、申告する所得がないので、所得税の確定申告も住民税の申告も基本的には必要ありません。ただ、所得がゼロまたはマイナスになるというのは、収入と支出をしっかりと把握しなければわからないことです。

副業収入が事業所得や不動産所得にあたる場合は、青色申告でも白色申告でも記帳と帳簿の保存が必要となります。詳細については、次の国税庁のホームページを参考にしてください。

記帳や帳簿等保存・青色申告
白色申告者の記帳・記録保存制度

なお、青色申告と白色申告の違いについては、フリーランスも副業も同じ考え方です(こちらの記事をお読みいただければと思います)。

一方、副業収入が雑所得にあたる場合には、事業所得のように記帳と帳簿の保存が特に義務付けられているわけではありません。しかし、収支を計算したときの資料は、何かあった時のために、できれば5年分くらい保管しておかれることをおすすめいたします。

所得ゼロや赤字でも、確定申告すると得する場合も

所得がゼロまたは赤字でも、申告した方がいいケースもあります。それは、申告をすることで税金が還付されるケースや、源泉徴収された税金を本業の所得税の前払いとして見てもらえるケースです。

たとえば、副業収入が原稿料であるときには、報酬の金額にもよりますが、たいていの場合、10.21%の税金(源泉所得税)が支払者の方で天引きされています。この天引きは、経費の金額を無視して一律に天引きされていますので、副業の所得が結果的にゼロか赤字である場合で、本業の給与所得が年末調整で調整済みなら、原稿料の源泉所得税の分だけ所得税を払い過ぎているため、還付になります。

同じ原理で、副業収入に関する所得が20万円以下であった場合に、確定申告をしない方がよいケースも出てきます。

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