はじめに

10月2日、勝ち組外食の一角で、中華料理店チェーン「日高屋」を経営するハイデイ日高が、9月28日に開示した2019年2月期第2四半期(3~8月期)の決算説明会を開催しました。

実績は売上高が211億円、営業利益が25.6億円、当期純利益が17.1億円。前年同期比では売上高こそ4.2%増でしたが、営業利益は3.4%減。上期としての営業減益は7年ぶりです。当初の会社計画比では、売上高が1.4%未達、営業利益が7.2%未達、当期純利益が4.9%未達でした。

期初計画を保守的に見積もる上場会社が少なくない中、この会社は本音に近い数字を出してきますので、そもそもの計画値が高いという側面はあります。ですが、上期だけとはいえ、7年ぶりの営業減益とは穏やかではありません。なぜこのような結果になったのでしょうか。


高成長を支えてきた2つの戦略

本題に入る前に、この会社がどういう会社なのか、おさらいをしておきましょう。

主要事業は、駅前でよく見かける「熱烈中華食堂 日高屋」の経営です。他にも「焼鳥日高」「来来軒」「中華一番」などの業態も経営していますが、今年8月末時点のグループ店舗数418のうち、384が日高屋となっています。

1999年の上場以来、減収は一度もなく、本業の儲けを示す営業利益は2004年2月期から15期連続で増益。過去10年で売上高は2.3倍、営業利益は2.7倍になっています。

高成長を支えるのが、同社の2つの戦略です。1つは出店戦略。出店方針は駅前一等地で、マクドナルドや吉野家の近所。集客力がある店の近くなら、たまには気分を変えてという需要が取り込めるだろうという考えです。

もう1つがメニュー戦略。ラーメン+餃子+ビールでも1,000円でお釣りがくるという低価格を武器に、ちょい飲み需要を取り込んでいくという方針です。主なターゲットは会社帰りのおじさんたちのようですが、ハーフサイズのメニューやおつまみメニューを単品で頼めるという点では、女性の需要も満たしているといっていいでしょう。

多様なメニューで固定ファン獲得

ラーメン店の平均的な一人前の分量は、女性にとってはヘビーです。スープまで飲み干して完食しないと店の人に申し訳ない、というマインドの人は二の足を踏みます。

その点、半チャーハン+餃子3個で390円、半ラーメン+餃子3個で330円という注文ができる日高屋は、量も価格も女性のランチ需要にピタリとハマります。

また、おじさんだからといって皆が皆、ラーメン+チャーハンといった炭水化物セットを好むわけではありません。店で他の人の注文するものに聞き耳を立ててみると、炭水化物を頼まず、おかずものを組み合わせて頼んでいる人も少なくないことがわかります。

季節ごとに限定メニューの入れ替えもしていますから、飽きさせない努力もしています。牛丼店チェーンの「吉野家」と同様、信者に近いファンが一定層いるようです。

7年ぶりの減益要因は人件費増

それでは本題に入りましょう。まず、会社側はどう分析しているのでしょうか。売上高の計画未達については、酷暑と悪天候を主要な理由に挙げています。材料も人件費も高騰していますから、日高屋も昨年9月末と今年4月末に値上げをしていますが、値上げは計画未達の理由にしていません。

既存店の実績を見てみると、今期に入って既存店の売上高が前年同月を割り込んだ月はありませんし、6ヵ月累計で前年同期の102%ですから前上期と同じです。4月の値上げ後、正直に客数は100%を割り続けていますが、客単価でカバーできていることがわかります。

そうなると、問題は新店なのでしょう。店舗数の増減計画は期初時点では通期で純増25でしたが、上期末時点では純増は5。通期計画も14に下方修正しています。

前上期の純増が8、通期が16でしたから、通期純増25という計画はそもそもハードルが高かったわけですが、期初の計画がこの出店計画を前提に組まれているわけですから、上期の売上高の未達が1.3%で済んだというのは、逆に健闘したと考えていいかもしれません。

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