はじめに

街にクリスマスの音楽が流れ、イルミネーションが綺麗に輝く時期は同時に、ふるさと納税のラストスパートの時期でもあります。

会社員の方は12月にボーナスが支給されると年間の収入金額がほぼ確定しますし、自営業の方も12月に入れば年内の収入がだいたいわかるかと思います。これから、ふるさと納税の最終的な調整をするという方も多いでしょう。

今回は、ふるさと納税シリーズの第三弾として、ふるさと納税の肝となる「税金」についてのお話をしていきたいと思います。


ふるさと納税はどのように控除されるのか

前回までのおさらいですが、ふるさと納税は自由に寄附先を選んで寄附をすると、所得税・住民税の前払いと捉えてもらえて、基本的に2,000円の自己負担額を除いた全額分の所得税・住民税が減額される制度だとお話しました。

具体的には、以下の3つに分けて計算されます。

①所得税からの控除

次の算式により計算した金額が、所得税から軽減されます。

(寄附した金額-2,000円)×所得税の税率
 限度額: 総所得金額等×40%

<所得税の速算表>

課税される所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円を超え 330万円以下 10%
330万円を超え 695万円以下 20%
695万円を超え 900万円以下 23%
900万円を超え 1,800万円以下 33%
1,800万円を超え4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」より

所得税の税率は累進税率といって、所得が多い人ほど高い税率が適用されることになっており、個々人で異なります。平成49年中の寄附までは、所得税の税率に復興特別所得税の税率(2.1%)を加えた率となります。ふるさと納税を行った年の所得税から軽減されます。

②住民税からの控除(基本分)

住民税は、基本分と特例分の2つがあります。基本分は従来から存在している寄附金控除の仕組みです。次の算式により計算した金額が住民税から減額されます。

(寄附した金額-2,000円)×10%
限度額: 総所得金額等×30%

10%の内訳は、市町村民税6%と都道府県税4%。住民税の場合は、ふるさと納税を行った翌年度の住民税から減額されます。

③住民税からの控除(特例分)

ふるさと納税の場合は、②の従来からの基本分に特例分が加算されることによって、全額が控除される仕組みになっています。特例分は次の算式により計算した金額が住民税から減額されます。

(寄附した金額-2,000円)×(100%-10%[②の基本分]-所得税の税率)
限度額: 住民税所得割額×20%

つまり、③までの合計で、原則として(寄附した金額-2,000円)×100%が引かれることになります。

住民税所得割額とは、所得税と同じように、個人住民税についても所得に応じて課されることになっている税金のことです。20%を超えない範囲内で寄附をしているのであれば、上記算式によって、2,000円の自己負担額のみで、残り全額が所得税と住民税から減額してもらえることになります。

見切り発車は危険?事前に限度額の確認を

このように、ふるさと納税として認めてもらえる寄附には限度額があります。その限度額を知るためには、自分の住民税所得割額はいくらになるのかを事前に計算しなければなりません。

見切り発車で寄附をすると、全額がふるさと納税の対象にならない可能性があります。年間の収入がみえない状況にある方は、上半期の寄附は控えめにしておき、下半期にある程度年間収入が見えてきた段階で、シリーズ2回目でご紹介した年間上限金額を確認して寄附をするのが賢明です。

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