はじめに

株式や投資信託等の配当や売却して得た利益(譲渡益)が非課税になる制度「NISA」、活用している方も多いと思います。12月26日には、NISA口座保有者に2019年分の買付余力が新たに付与され、NISA口座で株式等の追加購入が可能な状態になりました。

しかし、買付余力を使用する前に、制度開始当初から保有している株式等がどのように取り扱われているのか、また2019年分以降のNISA口座で注意すべきことは何か、という2点を確認しておきましょう。

その上で、戦略的にNISA制度を活用するには、どのような対策を行えばよいかについて検討してみます。


まずは手持ちの証券口座を確認

制度が始まった2014年からNISA口座を利用されている方は、まずはお持ちの証券口座を確認してください。ロールオーバーという、翌年分の非課税枠へ持ち越すための手続を取られていない方については、翌年初に2014年のNISA口座購入分が通常の取引口座へ移管されてしまいます。

この場合、NISA口座の株式等については、2018年12月28日の時価が適用されます。(投資信託や外国株式については、日付が異なる場合があります。) 移管された株式等を売却する際には、28日の時価との差額で損益が判定されます。NISA口座での含み損益は考慮されないため、注意が必要です。

また、これから2014年に購入したNISA口座の株式等について、売却の申し込みを実施しても、受渡日が2019年になってしまうことから、非課税の対象にはなりません。税金や取引手数料も通常通り掛かってしまう場合もあり、注意が必要です。

2019年は、2015年分のNISA口座の株式等について、ロールオーバーの申し込みが可能となります。2015年からNISA口座で保有している株式等について、引き続き保有を続けたい場合は申し込みを忘れないように注意しましょう。

2019年以降のNISAは運用期間が最長5年間

NISA口座では、2014年から2023年までの10年間のみ新規購入が可能です。2018年までのNISA口座での株式等については、非課税期間が終了する5年後にNISA口座で保有している株や投資信託をそれぞれ全額、翌年のNISA口座分として移管することができるため、最長の運用期間が10年となります。

しかし、2019年以降のNISA口座投資分は、期間の満了が2024年以降となり、新規購入可能期間の2023年末を過ぎてしまうため、ロールオーバーができません。そのため、5年後には必ず、NISA口座での売却か通常の取引口座への移管のいずれかを選択しなければなりません。

「つみたてNISA」に乗り換えるのも手

NISAには、年間120万円が投資できるNISA口座と、つみたてNISA口座のどちらかを選択できます。つみたてNISA 口座を2019年から利用を開始する場合、2056年末までの38年間にわたり最大760万円を運用することが可能です。

ただし、新規のつみたて可能期間は2037年末までとされているため、利用開始が1年遅れるにつれて、つみたて可能な金額が各年の上限額である40万円ずつ減少してしまいます。

2019年以降のNISA口座の株式等については、ロールオーバーができません。満期には、5年後に利益が出ていなくても強制的に課税口座への移管又は損益通算なしでの売却をせざるを得ません。

そこで2019年以降は、最長の運用期間が5年間と短くなったNISAから、38年間と長いつみたてNISAに乗り換えていくという戦略を取ることも十分検討の余地があるでしょう。

嬉しいことに、NISAからつみたてNISAへ変更しても、これまでNISAで購入した株式等は非課税口座として満期まで制度の恩恵を受けられます。2019年分からつみたてNISAへ変更すると、2018年分までのNISA口座の株式等はそのままで、38年間で最大760万円のつみたて残高を運用できます。

一方でNISA口座での新規購入期間終了後の2024年分から乗り換えると、つみたてNISAの最大運用可能期間は33年間になり、最大で580万円ほどしか運用できません。

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