はじめに

22万組以上の住宅選びの相談に応えてきたスーモカウンターが、住まいの悩みに答えるシリーズ。今回は、住宅・不動産総合サービス「SUUMO」の田辺貴久・副編集長がお答えします。


目黒区に住む35歳の会社員です。夫と子供2人(長女4歳、長男2歳)の4人で50平米の中古マンションに住んでいます。子供の成長に伴い、家族4人で50平米の部屋では手狭に感じるようになりました。収納が少なく、部屋は子供のモノであふれかえっています。


共働きなので、通勤時間を考えると都心にいたいのですが、都心のマンション価格をみると、なかなか思いきれず……。また、そもそもマンションだと、子供の足音が近隣トラブルになりかねないのではという心配もあります。


そう考えると、郊外の一戸建てにするほうがいいのかな、とも思います。とはいえ、今の都会的な暮らしから離れるのも抵抗があり……。どちらを選べばいいのでしょうか。


【相談者プロフィール】
・本人:妻35歳(会社員)
・家族:夫38歳(会社員)、長女(4歳)、長男(2歳)
・現在の住居:中古マンション(目黒区・50平米)

田辺: ご相談ありがとうございます。今回はマンションと一戸建て、それぞれがどんな暮らしに合っていて、どんな判断基準で選べばいいかについて考えてみましょう。

「住み心地」で比較検討しよう

マンションにはマンションの、一戸建てには一戸建てのそれぞれの良さがあり、どちらを選ぶかは悩ましいところですよね。

最初からどちらかにしようと決めるのではなく、まずは「自分の家族にとっての住み心地の良さ」について夫婦で話し合うなどして、整理してみることが大切です。そのうえで、自分たちがしたい暮らしが、マンションに合うのか、一戸建てに合うのか、並行して検討していきましょう。

スーモカウンターに相談にいらした方でマンションを選ぶ人の決め手は、「最寄り駅からの距離」、「防犯性(セキュリティ)」、「24時間ゴミ出しOK、共有部分の掃除が行き届いているなどの管理面」にこだわりが強いようです。

一方、相談者のような子育てファミリーがマンションの心配事として挙げられるのが「子供の足音」のこと。下階とのトラブルにもなりかねず、住み始めてから悩むことは避けたいところです。

これから販売予定の新築マンションであれば、1階や、マンションの共有スペース(集会室やキッズルーム)の上階の住戸など、足音クレームを避けられる場所を住戸単位で選ぶことが可能ですので、候補の1つとして考えてみるのもオススメです。

一戸建てを選んだ人の決め手となるのは、主に「物件価格」「収納や間取りの自由度」「子供の足音問題の解消」という点です。特に注文住宅であれば、間取りプランの自由度が高く、収納の場所・大きさなどの細部にもこだわることができるので、「自分の理想とする住まいを実現したい」という希望がある方には理想的な住宅タイプです。

もちろん、一戸建てですから、階下に足音が響く心配もありません。また、価格の面では、建て売りの一戸建てであれば物件価格が明確な一方、注文住宅の場合は総額がわかりにくい点を不安に上げる方も多いですが、逆に自分の予算に応じて、お金をかけるところ、削るところを取捨選択し、調節できるというメリットもあります。

エリアか家そのものか、どっちにこだわる?

希望に合う予算で住みたい街に住めることが理想的ですが、そうもいかないのが現実。

「どうしてもこの街に住みたい」というエリアがあり、そこは譲れないのであれば、近隣の土地や物件の価格相場を確認し、予算に合う物件を見ていきましょう。もし、「家自体のスペック」が譲れないのなら、エリアを広げて探してみることをオススメします。

相談者は「都会的な暮らしがしたい」とのことですが、たとえば「中目黒」に住みたいと希望されているとして、具体的には、周りがどんな環境だとベストでしょうか。

渋谷まで10分程度で出られる、飲食店が多い、クリエイティブなイメージ、という希望だとすると、「三軒茶屋」「下北沢」「自由が丘」など、中目黒以外にもいろんなエリアが浮かんできます。

「エリアを譲る」こと=「郊外に行く」ことだけではなく、エリアを広げてみることで今と同じような都会的な暮らしができる可能性があるということも念頭に置き、いろいろな街を視野に入れてみるといいでしょう。

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