「黒字経営が続いていますが、後継者がいないんです。もっと言うと、息子・娘が結婚さえしていません」――。

今、地方では“黒字倒産”続出の未来に対する危機感が高まっています。後継者の高齢化が進行したからか、背景はさておき「子供が欲しいから、若い女性を……」と結婚相談所に求める中高年男性が後を絶ちません。

先日も、地方のある結婚相談員の方から「50歳の男性が20代の女性を紹介してほしいと言います。子供が欲しいから、という理由で条件を変更してくれません」という悩みをうかがいました。

もちろん、相談員の方の悩みは「20代の女性で50歳男性の紹介OKの女性がいないので紹介できない」という悩みでした。その50歳の男性が何歳の女性を希望されるかは自由です。しかし、相手の女性の気持ちがある……。これは当然の悩みです。

しかし、この相談には統計的に見て、別の大きな問題が隠れています。この男性の「子供が欲しいから“50歳の自分に”20歳の女性を紹介してほしい」は統計的に何を意味しているのか、という問題です。さっそく確認してみたいと思います。


子供の数を「妻の年齢」だけで見る不思議

50歳の男性が20代の女性を妻に欲しがることに、違和感を“価値観的に”持つ方はいるかもしれません。

「それって妻が自分の子供の年齢でもおかしくないだろう?介護要員か、それとも自分の介護が必要ないくらい、お金持ちなのか」「子供が20歳の時、自分は70歳だぞ。子供に若いうちから看護や介護の苦労させる気か」といった、パートナーとなる相手や未来の子供への思いやりの観点から来る年の差婚への否定意見は、男女双方から多く耳にします。

しかし、こういうケースではどうでしょうか。37歳の男性が「結婚相手は32歳まで。結婚式まで1年、妊娠で1年、産後1年で3年。1子授かると母親が35歳なので、2子以降がきつくなるからね」というものです。実は、結婚に関するアラフォー婚活男性側の意見として、珍しくない意見です。

これらの発言はすべて「子供の数は女性の年齢だけが関係する」と言っていることと同義です。しかし、夫婦それぞれの結婚年齢と出生率を分析してみると、この意見はまったくの事実誤認であることがハッキリしています。

男性の平均初婚年齢と出生率の関係

女性の年齢と出生率の関係性に関しては、疑問を持つ人がなぜか皆無の婚活マーケット。そこで、まったくの棚上げ状態になっている「男性の結婚年齢と出生率」について、統計的な関係性を見てみましょう。

上のグラフは、2016年の47都道府県の男性の平均初婚年齢と合計特殊出生率の分散を示した図です。この年の各都道府県の「男性の平均初婚年齢」と「合計特殊出生率」の間には、-0.70という強い負の相関関係があることが相関分析から判明しました。

つまり、「男性の初婚年齢が高いエリアほど出生率が低くなり、男性の初婚年齢が若いエリアほど出生率が高くなる、という関係が非常に明確にあります」と統計結果は語っている、ということです。

グラフの赤線はわかりやすいように全体の傾向を示しています。男性の成婚時年齢がいかに子供の数にシャープに影響しているか見て取れます。子供が欲しいなら、しかも多く欲しいなら、男性も結婚を急ぎなさい、ということです。

女性の年齢を理由に「子供希望」を語る誤謬

このようなデータを見ると、「それって結局、若い男性の妻も若いからでしょ?やっぱり女性の年齢だよね?」という指摘があると思います。

女性に関しても初婚年齢と出生率に同じような負の関係性があることから、その推論は可能性があります。ただし、夫婦の年齢差は初婚同士1.7歳(再婚含みでも2.2歳)で推移しており、どちらが上であっても年齢差3歳以内の夫婦が7割を占めていますので、男性がそこそこ年上の年の差婚で“妻が若いだけで”生まれているというデータではありません。

また、今回は分析結果を省略しますが、女性の初婚年齢と合計特殊出生率のほうが、男性のそれよりも関係性が低い負の相関となりました(中程度-0.66)。女性の初婚年齢のほうが出生率に対してやや弱い影響力を持つ、という結果となったのです。

実は精子の年齢上昇による「子の精神障害の増加」「妻の流産率の増加」など、海外では男性の年齢上昇に警鐘する多くの医学論文発表があります。ですが、そういった難しい論文を知らなくても、せめて「男性も若いほうが、多くの子供が生まれています」という統計的事実をしっかり認識して、活動してほしいと思います。

年の差僅差の婚姻が圧倒的という背景も、生物学的背景もあるのですが、簡単に言うならば、統計的に男性の年齢は子供の数に強い影響を持ち、若いお父さんほど、その“授かり力”は無双、ということになります。