読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、がんにどう備えたらいいのかわからないという、生命保険に未加入の38歳の女性。厚労省の調査によると、日本人の約3人に1人はがんで亡くなっているそうです。万が一、がんを罹った時の経済的リスクの備え方について、FPのたけやきみこ氏がお答えします。

生命保険の必要性と、60歳以降の保険料の支払いについて悩んでいます。周囲でがんになる人の話を聞く機会が多く、とても気になるようになりました。民間の生命保険に入っていないため、現在加入を検討しています。医療保険分は、高額療養費や貯金で賄えると思いますが、がんになったときの備えについてはよくわからないので教えてください。また、老後の備えが、貯金と公的年金だけでは不安です。老後の備えは生命保険ではどのようなものが良いのでしょうか。60歳以降は給料が5~7割減額になると知り、年金の受給が始まらない期間に保険料を現役の頃と同じように払っていけるのか心配です。アドバイスよろしくお願いします。


〈相談者プロフィール〉
・女性、38歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸
・手取りの世帯月収:25万円(年収420万円)
・毎月の支出目安:18~20万円
・貯金:300万円
・投資:71万円


【支出の内訳】
・家賃:6.5万円
・車両費:1万円(ガソリン他)
・水道光熱費:1.2万円
・通信費:0.7万円
・食費:3万円
・日用品:0.7万円
・医療費:0.3万円
・交通費:0.7万円
・交際費:1万円
・美容・被服費:1.5万円
・娯楽費:0.5万円
・趣味:1万円
※余剰資金は旅行積立に回しています。
【毎月の貯金】
・預金:2万円
・401k:2.3万円
・つみたてNISA: 3万円
※預金は車の維持費と冠婚葬祭用、投資信託は老後の資金です。年間でボーナスを含めて100万円積立をしています。


たけや: がんへの備えについてのご相談ですね。もしも病気になったら、家計はどうなるのか。やはり一番心配なのは、お金です。働けなくなった時にもらえる傷病手当金にも日数には限度があります。がんによる経済的なリスクにどう備えるのか、考えてみましょう。

がんへの備えの一歩は「どんな治療を受けたいか」

がん治療には、費用と時間がかかります。会社も休まなければならなくなるかもしれません。治療を健康保険の範囲内とするのか、健康保険は使えないが自由診療等を受けたいのか、大きく分けて健康保険を使うか、使わないかの2択になると考えられます。健康保険を使えば高額療養費制度を利用できますが、健康保険を使わなければ高額療養費制度は利用できませんし、全額が自己負担となります。

がんの診断を受けた場合に、どのような治療を受けたいのか、ご相談者様の考えを整理しておくことが大切です。そして、その考えに一番近い保険を探すという流れになります。

がんがもたらす「2つの経済的なリスク」

ご相談者様のように働き盛りの世代にとっては、がんになることで、次のような経済的なリスクがあげられます。「収入が減ってしまうリスク」と「治療費用が継続的にかかるリスク」です。経済的な打撃がどれくらい出るのかを考えておくと、保険商品選びに役立ちます。100%希望にマッチする商品は存在しないので、保障ベースか、保険料ベースかなど、ある程度の区切りを決めておきましょう。

【がん保険の3つの基本的保障】
がん保険の給付金や保険金は、基本的には「診断給付金」「入院給付金」「手術給付金」です。このほかに「がん死亡保険金」など保険商品によって保障の範囲が異なります。

「診断給付金」は、がんと診断されると要件を満たせばもらうことができます。このお金は、自由に使うことができますので自由診療の費用に充てることもできます。「入院給付金」は、がんで入院した場合に給付され、給付対象となる日数に条件がないものが一般的です。「手術給付金」は、手術を受けた時に手術の種類に応じて給付されます。

最近は入院日数が短くなる傾向がある一方で、退院後の通院が長引くことも考えられます。通院に伴う自己負担額や交通費も決して少額ではないかもしれません。そうなると、通院治療に対応した保険を検討することも良いかもしれません。ちなみに、保障を充実させれば保険料も比例して高くなっていきます。例えば「診断給付金」を手厚くして、治療の選択肢を広げたいとか、保障の優先順位を決めてメリハリをつけるようにしましょう。

【医療保険で賄うか、がん保険を単独で検討するか】
がんに対する保障は、一般的な医療保険でも給付の対象となります。しかし、がんの診断給付金の保障はなく、入院給付金の給付日数には限度があります。そこで、医療保険とは別に、がん保険を単独に検討するか、医療保険に特約としてがん保障を付帯するか、選択することができます。どちらも、メリット・デメリットがありますので、保障内容と保険料の兼ね合いを考慮しながら検討してください。