はじめに

「『ガラクタのない家』幸せをつくる整理術」(婦人之友社)などの著書がある、整理収納アドバイザーの井田典子さんに、片付けの極意を聞く企画の第2回。井田さんは、片付けに悩む200軒の家を訪問し、改善した経験があります。そこから感じた、散らかっている家の共通点とは……?

多くの実例を見てきた井田さんが指摘する、片付けとお金の気になる関係。そして、1Kなど狭い住まいの片付け方、コレクションがある人への片付けのアドバイスなども紹介します。


大事なことを仕分けできれば、すべてが上手くいく

――井田さんは、片付けで困っている方のお宅への訪問・改善も行っていらっしゃいます。200軒を訪れて感じた、片付いていない家の共通点はありますか?

井田典子さん

井田さん(以下同):まず、玄関を開けたときのよどみですね。窓を閉め切っているお宅が多いので、空気が淀んでいるんです。それと、壁や窓、廊下をふさぐモノの“圧”。玄関を入ると、のれんで仕切られていたり、ベランダに面した部屋のカーテンが引きっぱなしだったりするお宅では、しっかり光が入るように、まずはそこに風穴を空けることを目指します。

――風穴、ですか。

まずは光と風を入れてあげる。そうすると、「この家はこんなに明るかったんだ!」と驚かれます。それと、元々の間取り図がわからなくなってしまうんですね。台所は二方向から入れるはずなのに、一方の入り口にゴミ箱を置いてしまっているとか。「どういう家だったのか」を把握するため、最初は間取り図を確認します。

――家のポテンシャルが生かせていないのは、もったいないですよね。

それぞれの方に、言い訳や想いがあるんです。なので、片付けに行く前に、それを吐き出していただきます。「いろいろなことで悩んでいる」とおっしゃる方も、電話で20分ぐらいお話しすると、気持ちが軽くなるようです。「他にはありませんか?」と聞くと、「悩みがたくさんある気がしていたけど、こんなもんでしたっけ?」とおっしゃることも。

――前回、片付けが苦手な人に向けて教えていただいた、「いいことも悪いことも書き出してみる」に通じますね。

思考の 「だ・わ・へ・し」 (出す・分ける・減らす・しまう。詳しくは第1回参照)です。部屋が片付かない、お金が足りない、今日の献立が決まらない……。吐き出さないと、悩みがたくさんあるような気がしてしまう。でも、その根底にあるのは「お金が足りない」だけかもしれません。吐き出してみると、悩みの輪郭がはっきりしてくるものです。お宅訪問では、まずはその方の想いを吐き出していただき、受け止めます。ここでも整理が9割、収納が1割。仕分けて大事なことを見分けることができれば、何をやってもうまくいくんです。

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