はじめに

欧州産のワインやスパークリングワイン、オリーブ、生ハム、チーズ……。普段使いするには少し値が張ると思っていたこれらの商品が、今までよりも手の届きやすい価格に変更になっているようです。

背景にあるのは、今年2月に発効された日欧EPA。関税の撤廃または引き下げによって、安く仕入れることができた分、小売り各社では顧客に還元する試みが行われています。


欧州産ワイン、小売り各社が続々と値下げ

今年2月、成城石井が欧州産ワインなどを値下げするフェアを実施。「値下げをきっかけに、ケースでまとめ買いしたい」「はじめて購入するワインも、値下げされた価格なら試しやすい」――そう言って商品を手に取る人が増えたといいます。

中でも、看板ワイン「CH ラ ヴェリエール ルージュ」は300円値下げをしたことで、売上本数が前月の約9倍に上りました。生ハムやオリーブも、値下げしたにもかかわらず対前年比で20%近く売上を伸ばし、フェアの手ごたえを感じているといいます。

同様に、イオンも2月に欧州ワインを最大330種類、平均で約1割、一斉に値下げしました。セブン&アイホールディングスでも、プライベートブランドの欧州ワインの他、チーズ、チョコレートなどを値下げして展開。小売り各社は次々と、欧州産輸入食品の値下げを決め、販売促進に力を入れます。

こうした値下げの引き金となっているのが、日欧EPAの発効です。

チーズ・豚肉・パスタ・チョコレートも段階的に値下げ

EPA(Economic Partnership Agreement)は、特定の国や地域での貿易や投資を促進するための経済連携協定のことです。

日本では、これまで21の国や地域と18のEPA・FTA(自由貿易協定)協定を結んできました。FTAが特定の国や地域で物品の関税撤廃や引き下げを目的としているのに対して、EPAは、物品の関税撤廃や引き下げはもちろん、サービス貿易や投資ルールの整備、知的財産の保護など、幅広い経済関係の強化を目的とした経済連携協定です。

中でも、輸出入にかかる関税の撤廃や引き下げは、私たちの消費生活に大きく関わってきます。というのも、日欧EPAの発効によって、欧州産の農産品や工業品にかかる関税は、将来的に約99%の品目で撤廃(日本は約94%)されるからです。すでに、ワインやスパークリングワイン、オリーブにかかる関税は即時撤廃されていて、チーズや豚肉、パスタ、チョコレートなども段階的に引き下げられ、各々10~16年目には無税となります。

それにより、これまで値が張ると思っていた欧州産の輸入食品が、今後は今までよりも安い価格で手に入る可能性が高まっています。

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