はじめに

「お金がないから結婚できないというのは全くの間違いです」。そう語るのは起業家のえらいてんちょう(以下、「えらてん」)氏です。「多額の資金」「特殊技能」「綿密な事業計画」もいらない「しょぼい起業」を説いた『しょぼい起業で生きていく』(イースト・プレス、2018年刊行)が話題となり、作家やユーチューバーとしても活動しています。

起業と聞くと少しハードルの高さを感じてしまいますが、えらてん氏は多くの人が経験するであろう結婚についても独自の考えを持ちます。それは「しょぼ婚(しょぼい結婚)」です。

えらてん氏は、出会って2日でプロポーズ、2週間で結婚。現在、2児(2歳、0歳)の父である経験をもとに、ユニークな「結婚・育児」論を提唱しています。現代人の大きな悩みの種でもある結婚についてどう考えるべきでしょうか。えらてん氏に話を聞きました。


お金がないなら、社交辞令を「真に受けよう」

――7月に発売した『しょぼ婚のすすめ』(KKベストセラーズ)が話題となっています。この本を書こうとしたきっかけは何でしょうか?

えらいてんちょうさん(以下同):多くの方が誤解されていると思いますが、結婚じたいは紙っぺらを出せば無料でできることです。それなのに、どこか肥大化した妄想のようなものによって、「結婚したいのにできない」と思い込む状況になっています。それは「不幸だな」と思いがありました。「結婚はもっと簡単なものだ」と思っているので、それを伝えたいと考えました。

――それはご自身の体験からでしょうか?

実際、私は妻と会って2週間で結婚しています。現在、たくさんの助けてくれる人たちがいるので生活にも困っていません。ただ、子供が生まれると、予想以上にお金がかかる部分や、逆にそうではない部分があると感じています。

――子育てをして気づいたことは何でしょうか?

まず、子育てをしていくうえで、親族のつながりはとても大事ということです。私も妻も親と関係があまりよくはありません。だから常にどちらかが子供を見ていないといけない。ベビーシッターを頼もうにも高いし、希望の時間にできる人が少ない。それに、子供だって慣れがあるから、いきなり呼んで任せることもできません。保育園だって、熱が出たら迎えにいかないといけないから最低限のもの。夫婦どちらも体調を崩したり、仕事があったりすると、ベビーシッターに頼らざるをえなくなります。親族との関係が良ければ、固定したメンバーに頼めるし、お金も介在しません。その意味では親族は重要です。

――では、えらてんさんはどうしたのでしょうか?

親族に頼れないのであれば、近所に仲のいい人がたくさんいればいいんです。例えば、隣の部屋のご夫婦は、よくごはんを持ってきてくれます。「困ったことがあったら言ってくださいね」という言葉をよく聞くと思うのですが、僕はそれを社交辞令とは捉えずに真に受けてみるんです。実際に子供と一緒に遊びに行って、「ちょっと見ててください」って子供を預ける。

――驚かれませんか?

社交辞令って、案外、頼めば本当にやってくれるものなんです。近所の方だけでなくTwitterでもそうですけど、「ほしいものがあったら言ってください」と言われたら、本当に「ほしいものリスト」をつくっちゃう。大家さんとかも「困ったことあったら言ってね」と言うんですけど、これも真に受ける。大家さんではないけど、ごはんだけでなく、もっとダイレクトに現金をくれたこともあります。ほかにはスーパーに買い物に行って、フルーツを買ってくれたりとか。

だから、多くの人って、何かを「したい」ものなんです。私も他の人に子供が生まれたら何かをしてあげたいでしょうし、自分が老人になったら、近所の子供をかわいがりたいですし。

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