はじめに

大勢を前にしてスピーチやプレゼンをするときは、緊張してどうしても早口になってしまうものです。聴衆には神経質でせわしない印象を与えてしまい、話の内容も伝わりにくく、またそんな会場の雰囲気を過敏に感じ取ってますます緊張してしまう……。落ち着いて、ゆっくり話すにはどうすればいいのでしょうか。

ロミオ・ロドリゲス Jr.さんは、『メンタリズム 最強の講義』の著書を持つメンタリスト。堂々とした心理術パフォーマンスで聴衆を驚かせる、話術のスペシャリストでもあります。ロミオさんは同書で「大勢の前でも緊張せずに話す、唯一の方法」を紹介しています。早速見てみましょう。


なぜ早口になるのか?

緊張すると早口になるのは、心理学的に説明できるそうです(「不安のディスクレパンシー活性化モデル」といいます)。「2者間の会話は、2者の不安レベルのギャップによって促進される」というもので、要するに「不安が高い人と低い人」の会話は不安の度合いが同じ人たちの会話より饒舌で、早口になる、というのです。

聴衆は、どんな話が聞けるか期待したり、無関心だったりしますが、不安を感じることはありません。一方大勢の前でスピーチをする話者は、自分の話が受け入れられるかどうか不安を感じ、緊張して、早口になるのです。より多くしゃべることで不安感を埋める、という感じでしょうか。

緊張したときの早口を治したい人は「とにかくゆっくり話すようにする」「句読点を意識する」「口を大きく開けて話す」などの対策をとりますが、ロミオさんによれば、いずれも緊張状態では意識できないので効果はないそうです。

つまり早口にならないためには、緊張状態を取り去る以外に方法はないのです。

緊張しない唯一の方法とは?

さて、緊張しないためにはどうするか。ロミオさんが「唯一の方法」としてすすめているのが、「等身大の自分で勝負する」ことです。

きっとあなたにも緊張をする場面が何度もあったと思います。そのときのことをよく思い出してほしいのですが、きっと自分の実力以上のことをやろうとしていたはずです。緊張は、自分の器を無理に超えようとしたときに起こります。ですから、飾らずに今の「自分のまま」で勝負しましょう。それが唯一、緊張をしない方法なのです(140ページ)。

ロミオさんも、メンタリズムのステージではとにかく「自然体」でパフォーマンスをします。弟子たちにも「そのままの自分の言葉を話せ」「カッコつけるな」と教えているそうです。「できると思われたい」「ウケたい」などの邪念を捨て、「ありのままで」勝負する。そんな思い切りが必要なのですね。

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