はじめに

独自の長期滞在プランで低価格帯を実現

マンスリーホテルをBEENOS株式会社とともに運営しているメトロエンジン株式会社の代表取締役CEO田中良介さんによると、同サイトがホテルの長期滞在をリーズナブルにできる仕組みがあると言います。

「そもそも一般的にホテルは楽天トラベルやじゃらんなどどの宿泊予約サイトにも同じ宿泊プランを提供しています。同じプランでもサイトごとに価格が違うのはOTA側が自分たちの手数料を削っているから。時期やサービスによっても異なりますが、一般的に手数料は10%前後だと言われています。

一方で、私たちはホテル側にマンスリーホテル専用のプランを作ってもらっています。そのため、通常の予約よりも2割ほど安く予約ができるのです」(田中さん)

掲載ホテルは全国各地のビジネスホテル、旅館、リゾートホテルで、1ヶ月10万円前後のプランが最も多いそうです。

自宅以外で長期滞在する場所となると、一般的にはウィークリーマンションを想像しますが、田中さんは「ウィークリーマンションとホテル暮らしには大きな違いがある」と断言します。

ホテルはコンシェルジュが24時間いる状態なので、荷物の受け取りやセキュリティの安心面のメリットがあること、水道光熱費がかからないこと、温泉やジムなどの施設があること、そしてウィークリーマンションと違ってホテルでは一時的に住民票の登録ができること。就職のために住所が必要な人にとってのニーズも叶います。

ホテルの生き残り戦略

取材をしたやよぴさんのように、ホテル暮らしは特に若い女性からのニーズが高く、実際にマンスリーホテルでは現状、予約をしたユーザーの7割近くが女性だと言います。

「ホテルに長期滞在で泊まりたいというニーズは、コロナ以前から確実にありました。ただ、高額なイメージがつきまとっていたので長期滞在先としてホテルを選ぶという選択肢がこれまでになかっただけだと思います。

コロナ以後は人の暮らし方が根底から変わり、一つの場所に2年間賃貸契約して住む価値観も変わるでしょう。特に若い人たちは場所や縛られない働き方や住み方の手段としてホテル暮らしは徐々に一般化していくと思います」(田中さん)

田中さんによると、コロナ禍の中で儲かっているホテルと儲かっていないホテルの二極化が進んでいるそうです。GOTOトラベルキャンペーンが終わっても高級ホテルは富裕層を中心に継続してお客さんが入る一方で、ビジネスホテル全般は業務転換を強いられることが予想されているのだとか。

ホテルは生き残るためにも、ホテルらしいサービスを提供しながら、長期滞在プランを安く提供したり、テレワークのためのワークスペースを確保したりと、ニーズを捉えることは必要不可欠でしょう。

withコロナ時代の新しいホテルのあり方として、「ホテル暮らし」というライフスタイルがどのくらい定着するのか、注目したいところです。

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