はじめに

2022年より相次ぐ食料品や光熱費の値上げ。給与が上がればいいものの、物価高に比例してあがった人はごく一部でしょう。「家計を見直さないと…」そう考えている方も多いのでは?

FPの山中伸枝氏のところにきた相談者もその一人。物価高の影響で家計が悪化しているといいます。日々節約しているものの食費や光熱費を切り詰めるには限界があり、この先の家計改善にお悩みのようです。山中氏はどのように回答したのでしょうか。


相談のきっかけ

山中:私のところにいらした相談者の方は、35歳会社員男性。最近の物価高から家計が悪化しており、なんとか家計改善を図りたいと考えています。専業主婦の配偶者様は、日々節約に励んでいらっしゃいますが、小さなお子さんもいるので、食費や光熱費をきりつめるのにも限界があります。そこで考えたのが保険の見直しですが、保険料を減らしたばかりに万が一の備えが不足しては本末転倒です。インフレに負けない家計の改善はどうしたら良いのでしょうか?

【相談者プロフィール】
・男性、35歳、会社員
・妻、35歳、専業主婦・子ども:長女2歳
・毎月の世帯の手取り収入:約23万円
・年間の世帯の手取りボーナス額:96万円

【毎月の支出の内訳】
・住居費:8万円(住宅ローンの返済)
・食費:6万円
・水道光熱費:1.5万円
・教育費:5,000円
・保険料:4万円
・通信費:1万円
・お小遣い:2万円(プラスボーナスから年間50万円取り崩し)
・貯蓄額:なし(ボーナスから年間40万円)

必要以上の保険に入っている人が多い

物価の上昇が止まりません。食料品や日用品ばかりではなく光熱費の値上げに関するニュースも続くと、今後の家計のやりくりに不安を感じる方も多いでしょう。ご相談者様は日々節約を意識していらっしゃいますが、がまんを強いる節約はなかなかつらいものです。

いつまで物価高が続くのか予測がつきませんから、今ここで貯蓄に手をつけることは避けたいところです。では、いったい家計はどこから見直しをしたら良いのでしょうか? 「家計の見直しは固定費から」という考え方があります。家計改善のお手本といっても良い方法です。固定費とは毎月決まって支払っているものです。固定費は、いつの間にか当たり前になってしまい、必要以上にお金を使っているケースも少なくありません。

固定費削減で着手したいのが保険の見直しです。特に保険は、入っていれば安心だと勘違いをして、必要以上の保障に高いお金を払い続けているご家庭が多いです。ご相談者様もまさにこの例。月の手取り収入が23万円に対して保険料の負担は4万円。家計に占める負担割合は17%にも及びます。お子さんが産まれた際に、保障も貯蓄もと勧められた保険ですが、今一度内容を確認してみるいい機会かも知れません。

とはいえ、ご懸念のように保険料を安くすることだけに着目し、やみくもに保険を止めてしまい本来必要な保障が得られないのは困ります。保険を見直す際には、正しい順番があります。