はじめに

名義貸しの手口

詐欺行為の結果をもとに、新たな罠をしかける手口は、以前からよく使われており、そのひとつに、名義貸しがあります。

高齢者のもとに「新設する老人ホームの入居権があなたに当たりました」と電話がかかります。そして「実は、当社(A社)では老人ホームに入れなくて待っている人がたくさんいまして、その方に名義を譲ってほしいのですが」と言われます。その話を承諾してしまうと、その後、老人ホームの運営会社員を名乗る男から電話があり「名義貸しの行為は違法です!このままだと、裁判になります」などと脅されて、和解金などの名目でお金を騙し取られます。

「そんな手口、自分ならひっかからないよ」

そう思った人に気をつけてほしいのが、しりとり型詐欺です。というのも、この申し出を断った人も詐欺に遭っているからです。

「名義なんか、貸さない!」

断った人には、業者から次のような電話がかかります。

「老人ホームの口座に、あなたの名前以外の名義人(山田)から入金がありました。あなた自身が住むつもりもないのに、他人に名前を貸した行為をしたとなると、あなたは名義貸しという犯罪を行ったことになり、犯罪者として逮捕されます」

しかしこう反論します。

「いいえ、私は名義を貸していません」

しかし詐欺師側からみれば、そんな反論は想定済みで、次のように畳みかけます。

「あなたは、A社の山田という人物と話をしましたよね」
「ええ。ですが、私は、断りました」

すると、業者は「断ったかどうか、その会話内容は、当方では確かめられませんので、警察に相談します」と一方的にいってきます。 警察沙汰でパニックになっているところに、警察を名乗る者から電話がかかります。

「今、A社の山田に犯罪を行っている疑いがかけられています」
いくら「私は関係ありません」と言っても、「あなたも共犯ではないかという嫌疑がかけられており、このままでは、あなたの家に捜査の手が入ります」

すると、弁護士が電話をかけてきて「あなた自身が、正規の手順にのっとってお金を払えば、業者は告訴を取り下げて、この件はなかったことにすると言っていますが、どうしますか?」と言われて、面倒なことに巻き込まれたくない思いから、お金を払ってしまう人が多いのです。

このように「断った」という、しりをうまくつかまれて、次の詐欺が行われます。

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