はじめに
新型コロナウイルスの影響で、一時は休止していた新規株式公開(IPO)が好調です。銘柄の動きを示すIPOインデックス(加重平均)が堅調に推移しています。これは対象銘柄の騰落率を時価総額で加重平均したもので、国内株式市場のIPO銘柄の上場後1年間の平均的な動きを表す指数です。QUICKが算出、公表しています。
3月、公開価格を上回ったのはわずか6銘柄
今年のIPOは、例年通り2月から始まりましたが、新型コロナウイルスが世界的に感染拡大となったことを背景に、IPO市場にも大きな影響が出ました。
3月のIPOは24銘柄あった一方、公開価格を上回る初値を付けたのは、わずか6銘柄でした。
IPO銘柄は初物であり、おおよそ投資家に顔なじみが少ない銘柄です。さらに、上場前なので詳細な情報の開示が十分でないことも多分にあります。
その分、公開価格は本来の価値から値引きされているのが一般的です。市場吸収金額(公開価格×公開株式数)が多額である、IPOの資金用途が借入金返済に充当する予定、再上場銘柄など、投資マインドが低下させられるような条件が重ならなければ、初値は大方、公開価格を上回る傾向にあります。
しかし、今回のコロナ禍では、前述したような場合でなくても初値不振が続出しました。そして、19銘柄が上場を延期しました。