はじめに
今から始められる準備(1):必要になる戸籍を集め始める
人が亡くなり相続が発生すると一番初めにすることは、相続人が誰になるかを確認する「相続人の確定」です。これをしなければ、財産がどこにどれだけあるのかを調べることができません。金融機関等は、預金者が亡くなると預金者の相続人でなければ、預貯金の有無の回答をしないためです。
相続人を確定させるためには、必要な戸籍を集めなければなりません。例えば、亡くなった方に子供がいる場合には、亡くなった方の出生から亡くなるまでの戸籍と、子供が別の戸籍に移っている場合、子供の最新の戸籍をそれぞれの本籍地で取得し、相続人が誰になるのかを確定していきます。
戸籍を集める手続きは、当人が存命のうちから始めることができます。今回の場合、まず、父親の出生から現在までの戸籍を取得します。
さらに、もし父親の戸籍を結婚して出てしまった子供がいる場合、その子供が存命かどうかを確認することが必要になります。そのためには、子供の戸籍も必要になります。ただし、戸籍法に定めにより、父親の存命中は、子供が自分以外のきょうだいの戸籍を取得することはできません。
今回の例では、ひとみさんは父親の戸籍を取得することはできますが、妹が結婚している場合などは結婚後の戸籍を取得することはできないということです。それでも「完全ではないけれど少しずつできることから始めていく」、という意味であれば父親の戸籍だけでも取得しておけば、相続発生時の負担は軽減されます。
また、父親の戸籍を取得しておくと、「認知している子がいる」など、相続関係が変わる可能性を事前に確認しておくこともできます。
誰が取得できるのか・どうやって取得するのか。
戸籍は誰のものでも取得できるわけではありません。戸籍は、原則として本人・配偶者及び直系血族(祖父母・父母・子・孫等)のみが取得できます。つまり、子供であれば親の戸籍を出生から現在まで取得することができるのです。
戸籍は本籍地で取得することになります。ただし、転籍、結婚、離婚、養子縁組などで戸籍を移っていることがあります。そのため、一カ所の役所で取得できないことがあり、本籍地を変えていれば本籍地ごとに戸籍を請求することになります。
戸籍は、直接役所に行くことができなければ郵送での取り寄せも可能です。昨今、土日休日は普通郵便の配達を行っていないので、取り寄せてもかなりの日数がかかってしまうので、早めに集めていくことをお勧めしています。