はじめに
ユニークな走行モード
そんなインテリアの仕立てに満足しながらさっそく走り出します。エクリプスクロスPHEVは走行モードが選べます。デフォルトとなるNORMAL/ECO、雪道のSNOW、悪路走行のGRAVEL(グラベル)、そして舗装されたワインディングでのスポーツ走行などをこなすTARMAC(ターマック)と、選択できるようになっています。グラベルとかターマックという用語はラリー競技で使われることが多い用語で、一般の人に馴染みがないかもしれません。それをあえて使用すると言うのは、WRC(世界ラリー選手権)などで数多くの伝説を残してきた三菱ならではのこだわりともいえます。残念ながら今回はごく普通の一般道での試乗ですから雪道や悪路は走れません。
ホールド性も良くロングドライブでも疲労感は少なそうです。
さっそくノーマルを選んで走り出します。静々とゆったりと加速していく感じはいかにもモーターでの走行感覚で本当にスムーズですが、速度を上げてもスポーティな走りでも、この感覚がずっと維持されていくのです。さらに感心させられたのは、ガッチリとしたボディ剛性のお陰もあるからか、しっとりとした重厚感ある乗り心地の良さです。これにはサスペンションの設定などが起因していると思いますが、重量にも一因がありそうです。PHEVはバッテリーなどの重量物を搭載しますから4WDのガソリンモデルより車重が400kg程度重くなるのです。それでも重量増によるトロさのようなものは128馬力の2.4Lエンジンと、フロントに82馬力、リヤに95馬力といったモーターが組み合わされることで、ほとんど感じないのです。
いえ、それどころかターマックというスポーツモードを選択すると、強烈な加速感を感じながら、相当なペースでワインディングや高速道路を走ることができたのです。2トン近いボディですが、その走りの感覚は、まさにヒラリヒラリです。その上でしっとり感もあるという、なんとも中毒性のある走りの味なんです。残念ながら新型のガソリンモデルを試すことはできませんでしたが、軽量の150馬力ガソリンモデルとは、まったく乗り味が違うことは容易に想像が付きます。
ここで個人的に残念なのはディーゼルモデルがカタログから落とされたことです。ガソリンモデルの上位モデルは「G Plus Package」が312万6,200円で、PHEVモデルのベーシックモデルのMが384万8,900円からとなっています。つまり、ガソリン車とPHEVの間には70万円ほどの価格差ができています。もしここに、350万円前後に設定されたディーゼルエンジンモデルが2タイプぐらい入るとラインナップに繋がりが生まれ、ユーザーにとっても選択がより楽になると思うのですが、どうでしょうか。
そしてもうひとつ、エクリプスクロスPHEVの試乗を終えて感じたのは「これでまた急速充電が混むな」と言うことでした。ただでさえ、リーフなどのBEVとPHEVとの間には急速充電施設での、せめぎ合いがみられます。そこにまた魅力的なPHEVが追加になったわけですから、ますます殺伐とした雰囲気になるかもしれません。