はじめに

戸籍謄本を生前に集めておくことで負担を減らすことができる

相続関係を確認するためには、戸籍謄本等を確認していく必要があります。なぜなら、把握していない相続人がいる可能性もあるからです。

子に関しては、現在の夫婦間の子だけではなく、離婚歴があり、前配偶者との間に子がいる場合も相続人になります。親権は前配偶者にあり、長年会っていない子も含まれます。同じ戸籍内に記載がなくても戸籍上の親子関係は変わらないため、再婚した最新の戸籍謄本だけではわからないのです。相続が発生した後で、相続人が知らなかった子の存在を知ることもあり戸惑う相続人を見てきました。認知している子がいることもあります。

生前に相続人の確認をしておくことで、誰が相続人になるのかが分かります。これにより、遺言書の必要性が明確になるだけでなく、どのような内容の遺言書を作成すればよいか検討することができます。

また、戸籍謄本は相続手続きをする際、最初に必ず必要となります。出生から現在までの戸籍謄本を取得していくと、除籍や改製原戸籍といった名称の戸籍が取得できます。この除籍や改製原戸籍は、一度取得しておくと有効期限に関係なく使用できます。万が一のとき、相続手続時に家族の負担を減らすこともできます。

どこにどんな財産があるか把握する

次に、(2)の財産状況の確認は、今ある財産の棚卸です。

財産とは、主に不動産、有価証券、預貯金等です。ご自身であれば頭の中にあれとこれといったように所有している不動産や取引のある銀行を思い浮かべることができますが、いまもし不慮の事故等で万が一のことがあった場合、その財産の内容を誰かご存じでしょうか。相続が発生した際に一番困るのは「どこに」「何があるか」を相続人が把握していないことです。なぜなら、今の日本にはこれを調べる制度がないからです。

不動産の見落としに注意!放置で手がつけられなくなることも

不動産であれば毎年春に固定資産税の納税通知書が届きます。その通知書でおよそ所有している不動産を把握することができますが、納税通知書は課税されている不動産の記載はあっても、課税されていない不動産は記載されていないことがあります。すると相続発生時に見落とされ、名義変更がされないまま放置されることにもなりかねません。

2024年から「相続登記の申請義務化」が始まります。これにより、相続により不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなります。正当な理由なく申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が課されることがあります。

もうすでに先代の名義のまま登記が残っていて相続人が複数にわたり手が付けられなくなっている不動産もありますが、まずは所有している不動産がどのような状況なのか知っておくことから始めてみましょう。このように所有不動産の存在を知っておくことと、現状のまま次の世代へスムーズに引き継いでいけるかどうかの確認をすることはとても大事なことです。

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