はじめに
有価証券と預貯金は金融機関がわかるように
有価証券、預貯金に関しては、残高より、どの金融機関に何があるのかを分かるようにしておくことが必要です。特にネット証券やネット銀行との取引がある場合、手がかりを見つけることは非常に難しく、見つけられない可能性もあります。IDやパスワードを誰かに預けておくことができれば安心ですが、家族に生きているうちからすべてを知らせることを躊躇する方もいらっしゃいます。エンディングノートに書き記しておく、信頼できる相続コンサルタントや専門士業へ情報を預けておくことなども視野に入れ、残された家族に負担がかからないようにする準備はいくらでも考えられます。
なお、大事なものだからといって銀行の貸金庫に入れることはくれぐれも避けてください。名義人が亡くなった後は、相続手続きが整わないと貸金庫を開扉することができません。相続人全員が協力して手続きをすることができれば問題ありませんが、相続手続きがスムーズに進まないと、貸金庫を開けることができなくなる可能性もあります。
財産の確認では、保険証券の見直しもぜひ行ってください。加入してから見直しをしていない方も多く、保険金の受取人がすでに亡くなっていたり、離婚した前夫、前妻ということも少なくありません。
現状が把握できれば必要な方法がわかる
推定相続人の確認で、誰が相続することになるのか、また財産の状況が把握できれば「遺言書」や「家族信託」「不動産の活用」といった方法のうち、本当に必要な方法は何かを検討することができます。この検討をご自身で行うことは様々な専門知識も必要ですので難しいかもしれませんので、終活・相続の専門家に相談して進めることをお勧めします。
今、終活・相続の情報はネット上にたくさん出回っており、多くシェアされている情報にはつい飛びついてしまいたくなることもあるでしょう。しかし、どんな相続でも、まずやるべきことは、「相続人になる人の確認」「相続人同士の関係性を知ること」「財産状況の把握」です。そのうえで、引き継いできた大切な財産を、スムーズに次世代へ移転できるような方法を考えていくことが大切なのではないでしょうか。
行政書士・相続診断士・終活カウンセラー 藤井利江子