いまや生活者にとって不可欠な存在になった「100円ショップ」。巷では「100円均一」とか「100均(ひゃっきん)」などの略称も定着しています。
この種の業態が登場したのは、おおよそ1960年代以降と言われます。まず1960年代にスーパーマーケットなどの「催事販売」として、100円均一商品を売る業者が現れたのが、そもそもの始まりでした。1980年代に入ると「店舗」としての100円均一商品の販売店が登場。これが「100円ショップ」を名乗ったのです。1990年代以降になると、この業界に参入する企業も増加。ザ・ダイソー、キャンドゥ、セリアなどのブランドがしのぎを削るようになりました。
そんな「100円ショップ」と同じような業態が、実は「昭和初期」にも存在していたことをご存知でしょうか? その名も「十銭(テンセン)ストア」といいます。これは生活雑貨や文房具品などを10銭均一で販売する店舗のことで、当時の小売業界を席巻したビジネスモデルでもありました。
ところで――いま筆者は何気なく書き飛ばしましたが――この「十銭ストア」は「じゅっせんストア」とか「じっせんストア」とは読まずに、どういうわけか「テンセンストア」と読みます。10をわざわざテン(ten)と呼んでいるわけです。
ではなぜ「十銭ストア」を「テンセンストア」と読むのでしょうか? その理由を探ると、価格均一ショップというビジネスモデルの「奥深さ」が透けて見えてきます。