はじめまして。日本で金融教育を普及させるために設立した株式会社マネネで代表を務めている森永康平です。このたび、「お金の育て方」というタイトルで連載を始めることになりました。

日本でも少しずつ資産運用が普及し始め、ネット上で色々な情報を無料で集めることが可能になりました。しかし、どれもデイトレーディングや投資信託の積み立て、FX(外国為替証拠金取引)や仮想通貨などスタイル毎に特化されており、全般的にまとまっているものは少ない印象を持っています。そこで、この連載では資産運用を幅広く学べるようにしたいと思っています。


なぜ資産運用が必要なのか

厚生労働省が発表した「平成29年簡易生命表」によれば、日本人男性の平均寿命は81.09 年、日本人女性の平均寿命は87.26年となっています。1980年は男性が73.35年、女性が78.76年ですので、37年前から男女ともに平均寿命が伸びていることがわかります。先程の平成29年の数字は、前年と比較しても男性は0.11年、女性は0.13年とそれぞれ増えており、現在進行形で日本の平均寿命が伸びていることもわかります。

また、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によれば、2065年における日本人男性の平均寿命は84.95年、日本人女性の平均寿命は91.35年となっており、将来的には更に伸びると予想されています。

「人生100年時代」という言葉もよく耳にするようになりましたが、仮に90歳まで生きるとしましょう。65歳まで働くとすると、年金に頼る老後生活は25年間になります。

生命保険文化センターが発表した「平成28年度 生活保障に関する 調査(速報版)」によれば、月額34.9万円がゆとりある老後を送るための生活費とされいてます。そうすると、34.9万円×25年×12ヶ月の計算で、老後は1億470万円が必要になるといえるでしょう。

総務省統計局の「高齢夫婦無職世帯の家計収支2016年度調べ」によれば、高齢夫婦無職世帯の社会保障給付は月額平均19.3万円、人事院「民間企業の退職金、企業年金および、国家公務員の退職給付金2017年4月度調べ」によれば、民間企業と公務員の平均退職金は約2,500万円となっています。

よって、老後に必要な1億470万円から、19.3万円×25年×12ヶ月+2,500万円の合計8,290万円を差し引くと、2,180万円が足りないことがわかります。

つまり、何もしなければ年金と退職金だけでは65歳から90歳までゆとりある老後生活を送れないため、資産運用が必要になるのです。

短期?長期?投資と投機の違い

いざ資産運用をしようと思っても、何から始めればよいかわからないですよね。国内株式や海外株式、投資信託、FX、先物、オプションなど、様々な投資対象があります。一般的に最初は国内株式や投資信託が多いですが、そもそもどのような目的で投資をするのかを明確にする必要があります。

いまはインターネットで検索すれば、いくらでも情報は無料で集めることができます。しかし目先の利益をいかに増やしていくかという短期的な取引、つまり株やFXのデイトレーダーのブログや、長期的に低コストの投資信託を積み立てていく投資を主とする投資家のブログなどの両極端な情報が目に付きます。自分がなんのために投資をするのかは情報に惑わされず、ぶれないようにしましょう。

前述の様に老後の資産を増やすために投資をするのであれば、基本的には長期的な視野にたつ必要があります。あまり、目先の相場の動きには一喜一憂しないことが大切です。私自身も経験があるのでわかりますが、投資を始めたての頃は、相場が気になって仕方なく、毎日上がった、下がったで感情の起伏が大きくなったりもしました。

しかし、そのような状況で何十年も続けるのは不可能です。しっかりと自分なりの投資哲学を早々に確立させるべきだと思います。

また、投資という言葉を使ってしまいましたが、短期的な利益を得るために、過度なリスクを取ったり、何も戦略のないまま投資をすることは、正確には投資ではなく投機といいます。別の言い方をすれば博打やギャンブルと同じです。自分の大事なお金を運用し、将来の老後資金にするわけですから、投機ではなく投資をすべきです。つまり、老後に備えての資産運用をするのであれば、長期的な視点に立った投資をする必要があるのです。

お金だけが投資のリターンじゃない

現在の日本において、銀行に預けていてもほとんど利子はつきません。例えば、老後に向けて毎月3万円ずつ銀行に預金していったとしましょう。仮に1年毎に0.01%の利子がついたとしても、30年後には1,082万円ですが、同額を積み立てて年率2%で運用すれば1,481万円、年率4%なら2,089万円、年率10%なら6,838万円と結果は大きく変わります。

このようにお金に働いてもらい、自分が一生懸命働く以外にも老後資金を増やすことは可能です。もちろん投資にはリスクがつきものですから、都合よく簡単にお金が増やせるわけではなく、場合によっては銀行に積み立て預金の方がよかったという可能性があることも認識すべきでしょう。

それでも筆者が投資を勧める理由は、投資のリターンは必ずしもお金だけとは考えていないからです。誰にも将来を正確に予測できない以上、投資には常に不確実性がつきまといます。しかし、経済環境や社会問題など、様々な事柄を見ながら投資判断を下すことで、少しはその不確実性の回避も可能になります。先程、何も戦略のないまま投資をすることを投機と言いましたが、投資をすることは、同時に戦略を立てるための学びの機会になるのです。

資産運用が必要ないま、ただ投資をするだけではなく、投資を通して自らの金融リテラシーを向上させることを始めてみてはいかがでしょうか?