本連載では以前、相場暴落で国際的な話題になった通貨・トルコリラについて、その言語的な側面を紹介しました(「言葉の観点」で分析する、トルコ通貨史/通貨単位「リラ」と「ポンド」の意外な関係)。
ところで最近危機的な状況にある通貨と言えば、もうひとつ思い出す通貨もあります。それはベネズエラの通貨「ボリバル」(bolívar)。現在この通貨はハイパーインフレの渦中にあります。国際通貨基金(IMF)は、同通貨の今年のインフレ率をなんと100万%と予測しました。ベネズエラは今年8月に「ゼロを5つ取る」デノミネーションを実施したばかりです。
経済危機の主因は、石油価格の下落。このため同国の主要な外貨獲得手段である石油輸出が不振にあえいでいる状況があります。最近では同国からの脱出をはかる国民も増えているとの報道もありました(参考:ロイター2018年8月21日「迷走ベネズエラ、デノミや新通貨制度は無意味」)。
今回、本稿で取り上げるのは、そんな話題の渦中にある通貨名・ボリバルです。通貨ボリバルを、言葉の側面から徹底的に分析してみることにしましょう。今回はその前編です。