はじめに
スキー場の上級者コース並み
遠慮気味だったのは走り出したときだけです。そんな気持ちではこの難コースは絶対に走りきれません。マツダ車に現在採用されている4WDシステムを支える「i-ACTIVE AWD」の実力を信じてコースへと突入します。
最初に試したのは「ヒルクライムコース」。もの凄い登りのコースをCX-5で挑戦します。このクルマはロードクリアランス(自動車の最低地上高。路面からクルマの最下部までの長さ)が210mmもあり、凸凹とした路面でもクルマの下を打つ危険性は少ないのです。ヴィッツとかコンパクトカーが120~130mm程度ですから、このクリアランスの長さが分かりますね。
タイヤはこのCX-5も含め、全車ともオンロード用パターンのものですが、これが驚くほどの路面への食いつきを見せて坂道をどんどん登っていきます。当然のように路面は荒れ放題で凸凹の土です。CX-5に備わる電子制御によってタイヤが凸凹の道でも空転したりせずに登ることができます。まさに瞬時に路面状況とドライバーのアクセルの操作量などのバランスを取って、的確にタイヤが路面を捉えるように4輪をそれぞれ制御しているのです。当然のように人間がコントロールするより、はるかにきめ細かな制御ですから、どんどん登ります。
スキー場の上級者コースかのような角度を下ってきます
この制御のお陰で、コース内の凹路面と凸路面の大きなうねりも余裕で乗り越えることができます。この走りは、マツダのスカイアクティブD、つまり低速トルクの強いディーゼルエンジンの特性にも合っているのだと思います。こういうコースを走ってみると、ディーゼルの燃費の良さだけでなく、エンジンとしての特性を実感できます。車高の高さ、エンジンの相性の良さ、そして「i-ACTIVE AWD」による電子制御がオフロードでも走破性を確保していることがよくわかります。
モーグルも凸凹もどんどん進みます
マツダのi-ACTIVE AWDは20個以上のセンサーを駆使して、前後のタイヤの駆動力の配分を積極的に電子制御するものです。そんなマツダ最新の走りを今度はCX-8で試してみます。コースは「モーグル」と呼ばれるところです。あのコブが連続するスキー競技を連想させるコースです。ここでは対角の2輪が路面について、別の対角の2輪が宙に浮くという状況にもなります。対角の2輪だけでどうやって走るのか、いや果たして走りきれるのかをプレミアムなCX-8で試すのです。実際に入り込むと、事前説明の通り、対角の2輪が浮いて、スタックしてしまうような状況ですが、ここでは「オフロード・トラクション・アシスト」を作動させます。するとどうでしょう、しっかりと路面を捉えている方の対角の2輪がパワーを伝え、どんどん前に進みます。この状態が交互にやってくるのですが、途中でスタックすることなく、進んでいきます。
モーグルでは対角の2輪が露面を掴み、別の対角2輪が宙に浮きます
モーグルを抜けると、今度はすり鉢状のコースにそのまま突入。ボディが大きなCX-8ですが、ここも拍子抜けするほどあっけなくすり鉢に降りていき、底から難なく這い上がってきます。正直、CX-8には似合わないシーンですが、走りは頼もしい限りです。
すり鉢コースは後輪が浮き上がるほどの急な下り坂です