はじめに
年末年始が近づくころ、お客様からよくいただくお悩みがあります。それは、パートナーから急に「どこか旅行に行かない?」と声をかけられたときに、嬉しいものの、家計への影響が判断できず、即答しにくいというものです。
特に年末年始は、帰省やイベントなど出費が重なりやすい時期。旅行の話が出ても、旅費にどのくらい充ててよいかイメージがしづらく、判断に迷います。
では、どうすれば急なお誘いにも気持ちよく「行こう」といえるようになるのでしょうか。
今回は、直前に旅行の行き先を決めるご家庭でも取り入れやすい「思いつき旅行費」という仕組みをご紹介します。旅行のタイミングは自由なまま、家計への影響を抑えつつ気兼ねなく行けるようにする方法です。
旅行の計画が直前になりやすい理由
年末年始に限らず、旅行の計画が直前になるご家庭は少なくありません。忙しさで事前に計画を立てる余裕がない、仕事や学校の都合で先々の予定が読みにくい、家族の体調に不安があるため事前に決めたくない、など理由は様々です。
思い立ったときや、家族の体調が落ち着いているタイミングで「旅行に行く」と判断するスタイルは、自由度が高く、暮らしに合った選択といえます。
年末年始の旅行が家計に響きやすい理由
年末年始は、普段とは支出のパターンが大きく変わるタイミングです。クリスマスや帰省の準備、ギフト、外食の増加など、通常より出費が重なりやすい時期です。この状況で旅行を直前に決めると、さらに費用が上乗せされやすくなります。
航空券や宿泊費は繁忙期に価格が上がりやすく、直前予約では選択肢も限られます。普段なら選ばない価格帯のプランしか残っていない、ということも珍しくありません。その結果、旅行自体は楽しみでも、その月の支出バランスを崩しやすく、後から調整が必要になるケースもあります。
事前に計画を立てにくいご家庭ほど、決断のタイミングが旅行費の変動に直結しやすく、家計管理の難しさにつながりがちです。
判断がラクになる「思いつき旅行費」
旅行に出かけられるかどうかは、その時の体調や仕事の状況、子どもの予定など、家庭によって大きく変動します。先の予定を立てにくい場合、旅行の可否をその都度、家計と照らし合わせて判断する必要がでてきます。そこで役に立つのが、あらかじめ年間で旅行に使っていい費用の上限を決めておく「思いつき旅行費」です。
予算が決まっているだけで、その都度お金の話をする必要がなくなり、気をつかわずに旅行の話を進められるのは大きなメリットです。また、この判断を仕組化することで、直前でも気持ちよく旅行の判断ができるようになります。
見える化で判断のストレスを減らす
思いつき旅行費をより効果的に活用するポイントは、予算を「見える形で共有」することです。共通の口座や、家計簿アプリの共有機能などを使うことで、お互いに旅行費の状況を把握することができます。数字で共有されているだけで、言葉で伝えなくても「今どのくらい使えるのか」明確になるため、認識のずれが生まれにくくなります。
残高をもとに行先や日数、宿泊先のグレードなども調整できるため、話し合いがスムーズになります。
「お金使いすぎじゃない?」「もっと旅行に行きたいのに」といったすれ違いも起こりにくく、数字によってお互いの認識が揃う仕組みが出来上がります。