はじめに
②早期退職・サイドFIREのプランの注意点
今回のシミュレーション結果は運用利回りの想定に強く依存しています。シナリオ分析では、最終資産に最も大きく影響したのは運用利回りでした。より保守的な利回り4%を想定すると、現在の年間支出180万円を投資収益だけで完全にまかなうには約4,500万円が必要で、現状の3,230万円とは約1,200万円の差があります。
もっとも、現在の積立ペース(年約150万円)と運用益を合わせれば、40代半ばにはこの水準に到達できる可能性があり、今の負担の大きい働き方を続ける必要性は低いでしょう。
週3日・1日5時間程度のサイドFIRE(年間収入100万円前後)に切り替えれば、生活費の大半をまかなえ、資産をほとんど取り崩さずに運用を続けられます。これなら近い将来にでも、無理のない働き方への移行が可能です(ただし、年金保険料・国民健康保険料の負担があるため、可能であればサイドFIREでも厚生年金加入での働き方がおすすめです)。
65歳からの公的年金は、生涯にわたる収入の土台となります。実際、年金が始まる65歳以降は支出の4割前後を公的年金がカバーするため、ご自身の資産で本格的に支える必要があるのは「リタイアから65歳まで」の期間。ここをサイドFIREの収入で薄く支えられれば、計画はぐっと現実的になります(年金については60歳からの繰上げ受給も選択肢になります)。
キャリアプランに関連する注意点は2つです。
1つは、リタイア直後に大きな下落が来る「シークエンス・オブ・リターン・リスク(収益率順序リスク)」。しかし、生活費2〜3年分の現金(現在の預貯金で十分です)を確保しておけば、暴落時に資産を売り急がずに済むでしょう。
もう1つはインフレで、生活費が年2%上がる前提でも上記の結論は変わりませんが、運用を継続し資産にインフレ耐性を持たせておくことが大切です。
③NISAの今後の資産運用方針
今後の方針はシンプルです。iDeCo(月2.3万円)とNISAのつみたて(月10万円)は、税制メリットが大きいので継続していくのがよいでしょう。特にiDeCoの掛金は全額が所得控除となり、在職中ほど節税効果が高いため、退職前にしっかり活用していくことをおすすめします。
なお、iDeCoは60歳まで引き出せませんが、これはむしろ早期リタイア後から年金開始までの「つなぎ資金」として活用可能です。
ご質問の成長投資枠については、空けておくよりも、課税口座の資産を徐々に移し替えることで将来の利益を非課税にできます。優先すべきは個別株(770万円)。売却で値上がり益への課税は生じますが、含み益の比率が比較的低く税負担が軽めであること、またS&P500や先進国株式中心のインデックス戦略から外れ個別銘柄への集中リスクを抱えていることから、整理に適しています。年間240万円の成長投資枠に合わせ、2〜3年かけて売却・移管していくとよいでしょう。
一方、特定口座の投資信託(650万円)は既にインデックスで含み益も大きく、売却時の税負担が重いため、急がず後回しでもよいかと思います。NISA内の資産は、もちろんそのまま保有を続けていきましょう。
今後の課題は「どこまで生活水準を上げていくか」
以上、ポイントをまとめますと以下のようになります。
ご相談者様は、すでにFIREの土台が整っている状態です。今後の課題は「いくら貯めるか」ではなく、「いつ・どの程度、働き方を緩めるか」「どこまで生活水準を上げていくか」という前向きな選択です。
今後のNISAについては、課税口座のうち個別株を優先して売却しながら、NISAでの買い直しという形で利用していくとよいでしょう。ご参考としていただけましたら幸いです。
連載「みんなの家計相談」でお悩み募集中!読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのFPが答えます。相談はこちらから。
「私、同年代より貯蓄が上手にできていないかも…」お金の悩みを無料でFPに相談しませんか?[by MoneyForward HOME]