はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

自営業で芸能関係の仕事をしています。毎月30万〜100万円と浮き沈みの激しい収入です。貯金が250万円程度しかなく、300万円を越えようとやりくりしていますが、毎年300万円を超えたところで大きな出費があり、また250万円程度で推移しています。どうしたらこの壁を超えられるのか、何年もこの状況の繰り返しなので分からなくなってしまいました。


〈相談者プロフィール〉
・男性、29歳、既婚(妻:専業主婦)、子ども1人(5ヵ月)
・職業:自営業
・居住形態:賃貸
・手取りの世帯月収:50万円
・毎月の支出目安:45万円
・総資産:250万円


花輪: 収入が不規則な人ほど支出の記録をしっかりして、予算を立てて支出のコントロールをしましょう。

また、できれば毎月の支出は、最低収入の30万円に合わせて生活できるように抑えておくことがポイントです。

目的別に4つの口座でやりくりする

収入が多い月の余剰分は貯金を二つに分けて。特別支出に対応させるための貯金(プール用)と、手をつけない貯金とに分けます。旅行などの特別支出は、収入が多い月からのプール用の貯金の範囲でやりくりをしましょう。

また、収入が不定期の場合、できれば生活費を引き落とす口座、収入が入る口座、二種類の貯金口座(プール用・手をつけない貯金用)に分けたほうが把握しやすくなります。

家計管理サービスを利用すれば複数口座にまたがっても管理しやすいですね。このように口座を分けて貯める仕組みを作り、一定額を別の口座に移していけば貯金は増えていくはずです。

まずは1週間、次に1ヵ月、支出のチェックを継続して

また、ダイエット中に毎日体重計に乗り続けるように、定期的に家計簿で支出をチェックしてお金に意識を集中させてみてください。

まずは1週間の支出をチェックすることにより、何にいくらかかっているか把握でき、ムダ使いも減ります。1週間続けることができたら、次の週はもっと上手なお金の使い方ができるよう改善していきます。

次に、1ヵ月分の支出をチェックしてみてください。1ヵ月分の記録が分かると、どれだけお金があれば1ヵ月間生活できるのか、より正確な情報が分かるようになります。1ヵ月に必要な生活費が分かれば、収入が変動した時にどれくらい貯金をしておけばよいのかなど、目安が分かるようになります。

変化に強い家計を作る

そして、できれば1年間、支出をチェックしてみてください。1年間続けることができれば、イレギュラーな特別支出や特別収入まで把握することができます。支出は毎月均等なわけではなく、月によってバラつきがあることがよく分かります。

急な出費のことを考えた上で、普段はできるだけ生活コストを下げておかなければならないことが理解できるようになるでしょう。

ここまでのレベルになれば、家計簿中級者以上です。ちょっとしたことでは家計が傾かなくなります。行き当たりばったりではなく、自分の人生をよい方向にコントロールしていくことができます。

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