はじめに

2月24日から経産省と経団連が提唱する「プレミアムフライデー」が始まる。毎月最後の金曜日、大企業が従業員に対して15時退社を呼びかける新しい制度だ。

昨今の「働き方改革」や「ブラック企業批判」に応えるかたちで労働時間を減らす効果とともに、新たな消費行動が生まれることでの経済へのプラス効果が期待されている。

このプレミアムフライデーは、どのようなビジネスチャンスにつながるのか? その展望をまとめてみよう。


「月末の金曜日は15時に帰宅しよう」

毎月一回、月末の金曜日は早く退社する日にしよう――。経産省と経団連がこれまで準備を始めていたプレミアムフライデーが、いよいよ2月24日からスタートする。

基本的には経団連の傘下の大企業から導入されるが、制度が社会に定着すれば徐々に中小企業などほかの職場にも波及するのではないかと期待されている。

経団連は、残業時間が減って働き方改革にプラスになる効果を見込み、経産省は早く帰宅する人々が生む新たな消費に期待をかける。

第一生命経済研究所の試算によると、大企業の帰宅が早まっただけの場合でも、「一日135億円の経済効果がある」という。そして世間全般に広まった場合の経済効果は1236億円と、莫大な額が見込まれている。

では具体的にどのようなビジネスチャンスが生まれるのか? 2月24日のプレミアムフライデーに向けて、外食産業が企んでいる計画を眺めてみよう。

ハッピーアワーの拡大に期待

まず目立つのはハッピーアワーの企画。ハッピーアワーとは、欧米のパブなどお酒を提供する業態では当たり前のように行われている集客企画で、17時、18時くらいの早い時間帯に来店した客にビールを無料でふるまったり、手軽なおつまみをサービスしたりする慣習だ。

日本でもこのハッピーアワーがプレミアムフライデーに合わせて拡大しそうだ。サッポロビールが運営するサッポロライオンではヱビスビールが半額になり、ワインバーや居酒屋業態でもおつまみとドリンクセットなど気楽に楽しめるスターターセット的なメニューを導入するそうだ。

そもそも居酒屋はサラリーマンの就業時間に合わせて17時以降に開く店が多いが、プレミアムフライデーに限っては15時開店と変えるお店が増えそうだ。

最近は、「ホットペッパーグルメ」や「Yahoo!予約」といった予約サイトで飲食店のお得なプランを選んで予約する人も多い。これら予約サイトでも、15時台など早い時間帯に予約する人向けのお得なプランを開発する動きが進んでいる。

新しい旅行需要を狙う旅行業界

飲食業界と同じくプレミアムフライデーのビジネスチャンスを狙っているのが旅行業界。金曜の午後発の商品が人気になることが予想される。

首都圏のサラリーマンが15時に退社して16時の新幹線に乗れば、京都に19時台には到着する。そのような人々を想定して20時頃に遅めのチェックインをした旅行客が、そこからゆっくり食事を楽しめるようなプランの開発が始まっている。

京都や金沢のような観光地は意外と夜の終わりが早いものだが、それでも大都市なので探せば遅くまで開いている名店がたくさん存在する。仕事を終えて金曜の夜に到着した人が旅を満喫できるようにお店を探し、クーポンや特別メニューをそろえることが、旅行会社の重要な仕事になりそうだ。

エイチ・アイ・エスでは金曜日の午後の旅行客に対し、人数限定ではあるが、あらかじめ空港まで荷物を無料配達するサービスを提供するという。これなら会社では、なにごともないように仕事をこなし、15時に退社した後、手ぶらで羽田に向かい福岡や札幌に旅立つこれまでにはできなかった旅行スタイルが楽しめるようになる。

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