はじめに

中学受験に関する数字を森上教育研究所の高橋真実さん(タカさん)と森上展安さん(モリさん)に解説いただく本連載。

埼玉や千葉、関西圏などではすでに入試がスタートしています。東京・神奈川の入試解禁日までは10日を切りました。今まさに親子で一丸となり、第一志望を目指してラストスパートをかけていることでしょう。

この時期だからこそ考えたい「第一志望校」が示す意味とは?

今回の中学受験に関する数字…30%


志望順位を決めるのは偏差値だけ?

<タカの目>(高橋真実)

中学受験をする子どもたちの中で、第一志望の学校に合格・進学する割合はおよそ30%と言われています。

ひと口に第一志望校と言っても、「チャレンジ」として少し背伸びして憧れの学校を目指す受験生もいれば、確実に合格できそうな「安全圏」を狙う受験生もいます。最近は以前ほどチャレンジしなくなっているという話も聞きます。

志望順位を決める主な基準は偏差値でしょう。しかし、それだけで決まるわけではありません。

2つの学校に合格して、「英語教育が魅力的だから」と、あえて低い偏差値の方の学校に進学を決めたお子さんもいます。

のんびり屋さんの女の子なので、その性格に最も適した学校をと、合格した中から偏差値が低めの学校を選択したという話も聞きます。

反対に、親の思いを優先した結果、お子さんの性格と校風が合わず、高校受験をし直したという話を聞いたこともあります。

偏差値だけにとらわれず、学校の教育内容、校風など、様々な要素を考慮し、お子さんとの"相性"を考えた上で志望校を選び、優先順位を考えることが大切です。

いざ受験が始まっても揺れ動く思い

志望順位は受験期間中でも変わることがあります。

これは、ある男の子(A 君)のお母さんからうかがった話です。 

A君は受験直前にインフルエンザに罹り、すべての志望校を保健室または別室で受験しました。2つめの受験校であるB校での受験が終わったあとのこと。保健室から出てくると、そこには教頭先生が立っていました。教頭先生はにっこり笑ってA君の額に手をあて「大丈夫だったか?熱はもうそんなにないみたいだね。」と話しかけたそうです。

A君親子は当初志望順位が下だったB校に行きたいと思ったそうです。それは、教頭先生の対応に、どんなことがあっても、この学校なら安心していられると思えたからでした。A君はB校に見事合格。他の学校にも合格しましたが、迷うことなくB校に入学しました。

多感な時期、そして子どもが人として大きく成長する6年間を過ごす学校としてどこを選択すべきか。親子の思いは揺れます。

さて、中高一貫校卒業間近のわが娘。6年前、彼女も第一志望はあえなく敗退しました。娘は、中学入学当初は微妙な感情を抱いていましたが、しっかりと受け止めてくださる先生、互いに信頼し認めあえる友だちに囲まれ、笑顔溢れる6年間を過ごすことができました。

首都圏の入試がいよいよスタートしました。1人でも多くの受験生が第一志望に行けますように、たとえそうではなくても、ご縁のあった学校で笑顔の6年間が送れますように。毎年この時期、そう祈らずにいられません。

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