はじめに
はじめまして。ネットニュース編集者の中川淳一郎と申します。当連載では「気持ちよくお金を稼ぎ、使い、貯めて、増やし、節約する方法」について書いていきます。
基本的に私は物欲はあまりなく、見栄を張りたいとは一切考えていません。年間の被服費も1万5,000円ぐらいで、いつも着ている白いシャツが黄ばみ始めたり、靴下やパンツに穴が開いたら買い替える程度です。どうせオレの格好やルックスなんて気にしている人は世の中にいないからどうでもいいや、とばかりにほぼ毎日同じ格好をしています。
今回は「洋服についての考え方」です。女性は「このブラウスはもう流行遅れだから今年の秋物を新たに買わなくちゃ」みたいなことを言い、新しい洋服を買います。「別に破れていないから気にしないでいいんじゃないですか?」なんて言おうものなら「あなたとは違うの! 私達はちゃんと流行を追わなくてはいけないの!」なんて怒られてしまいます。
こうした考えは尊重するものの、洋服の種類が多過ぎるとどれを着ればいいか迷い、お出掛け前にいちいち悩んでギリギリまで焦り続けることになります。こうした急かされた気持ちを味わいたくないから「服」に対する考え方をシンプルにし、出費も抑えることを心がけています。
着る服の判断基準は2つしかなく、1つは「実に真面目な会合があるかないか」で、もう1つは「気温」です。前者については、中央官庁の人々と会う時や、広告関係でクライアントのところに行く場合、そして講演をする場合です。この時は後述する「Tシャツ+短パン」では絶対に行かない。後者の「気温」ですが、この判断方法が実に楽なのです。天気予報の最高気温と最低気温を見て、一応自宅のドアを開けて外に出て体感で気温を判断する。パターンとしては以下の5つしかありません。
【1】暑い:Tシャツ+短パン+サンダル
【2】普通:ボタン付きの白シャツ+黒のスキニージーンズ+MERRELのビジネス靴風に見えるカジュアル靴
【3】涼しい:【2】に薄手の黒いジャケットを追加
【4】寒い:【3】に黒いコートを追加
【5】無茶苦茶寒い:【4】と同様だが、黒いジャケットをコーデュロイの厚手のものにする
私の名前で画像検索すると、ガチャピンの着ぐるみを着たものはあるものの、他はほぼ全部上記のような恰好です。こうした方針をこの18年ほどずっと続けていますが、この格好だからってモテないわけではなかったし、仕事もスムーズに進む。アパレル会社や百貨店の従業員などはやはりカッコ良くあるべきだとは思いますが、男性の場合、その他の職業ではそこまで格好を気にしないでいいのでは。「変態仮面」のように頭からパンティをかぶる非常識なスタイルは当然やめたほうがいいでしょうし、「腰パン」はだらしないと思う人は存在します。ですが上記【1】は賛否両論あるでしょうが、【2】~【4】は常識的な格好ではあります。
こうした「格好の固定化」というものの利点はいくつもあります。前述の「悩まない」というのは当然のことながら、年間の被服費の予想が立てやすいことも重要です。洋服を色々と揃えたり、コーディネートを楽しむ人にとって被服費は「変動費」になりますが、格好をパターン化した場合は、自動車の車検のごとく「年に1回のメンテナンス」的な話になり、事実上の固定費となるのです。となれば、年収があまり変わらない場合のお金の使い方を考えるにあたり、家賃や光熱費と同様に支出計画を立てるための重要なデータになるのです。
私の場合は「年間1万5,000円」というのが分かっているため、その他のものにどれだけお金をかけるかが大枠で把握できるようになります。そして、最大の利点は「他人の評価を気にしない」というメンタリティを獲得できるようになる点です。