はじめに

現実に向き合う一歩に

彼が母親と出ていったあと、彼女は1日中、座り込んで泣いたといいます。封筒の中には200万という大金が入っていました。

「その後、彼に荷物を送るためにやりとりしていたら、おとうさんは亡くなったそうです。家は針の筵だと嘆いて、彼はときどき連絡を寄越してよりを戻したいと言ってきましたが、私はあのおかあさんの様子が目に焼きついていたので、彼を受け入れることはできませんでした」

とはいえ、彼女の喪失感は強く、あっという間に7キロもげっそりと痩せたそうです。別れて数ヶ月。今は少し落ち着いたものの、彼と暮らした部屋にいるのがつらく、もうじき引っ越すそう。新たな部屋を借りるため、あのお金を使いました。

「これからどうしたらいいんだろう。そんな現実的なことをようやく考えられるようになりました。結局、子どもは産めないままなんでしょうね」

この恋愛を、いつかどう総括するのか。それが彼女の未来への一歩となるのかもしれません。

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