はじめに
恋愛は苦手だけど、ときには男性とドキドキした時間を楽しみたい。お金が介在すれば楽しめるのに、そうでなければ不信感が生まれてしまうという34歳の女性。彼女が本当に望んでいるものとは何なのでしょうか。
恋愛などする気もなかった
「私、継父に虐待されて育ったんです」
のっけから淡々とそう話してくれたリサさん(34歳)。彼女が1歳のときに実父が亡くなり、母親は3年後に再婚したそうです。
「父の違う弟と妹が生まれ、私だけ家族の中で浮いているような違和感がありました。継父は私には厳しかった。何かあるとすぐ手を上げるんです。母はしつけだと思っていたようだけど、あれはどう見ても暴力だった。そう思っています」
中学に入る頃、母方の祖母の家に身を寄せました。そこだけが彼女が安心していられる場所だったのです。
「祖母はひとり暮らしだったから、母からみれば私がいい介護要員になると思ったのかもしれません。実際、高校時代、私は学校以外はほとんど祖母のめんどうを見ていましたから。それでも祖母からたくさんの愛情をもらったと思っています」
一方で、男性には常に不信と不安がありました。共学の高校だったのでカップルもいましたが、リサさんは男性には関心がなかったといいます。
「大学へ行きたかったけど親は私の学費は出してくれない。すると祖母が『行きたいなら行きなさい』とお金を出してくれたんです。私が大学2年のとき祖母は亡くなりました」
祖母は、今後の学費だといってリサさんにこっそり現金をくれていたそうです。彼女は祖母の遺産を血眼になって探す母親と継父を尻目に、別の場所でひとり暮らしを始めました。
仕事も私生活もマジメに
「けっこうまじめに勉強したんですよ、大学で。留学もせずに英語とフランス語を習得しました。そして貿易関係の会社に就職しました」
仕事は順調でしたが、彼女のマジメすぎる性格が災いしました。仕事にはときに破天荒な企画や方法が有効なことがあるからです。融通がきかない彼女は、別の団体に転職しました。
「いろいろな意味で防御が強すぎるんですよね。自分のことは自分で守らないといけないと子どもの頃から思っていたので、人に気を許すこともできなくて」
地道に貯金もしてきました。恋愛したいと思ったこともありませんが、30歳になったとき、「体がねじ曲がるような寂しさ」を感じたそうです。