はじめに

3月9日に発表された2月の景気ウォッチャー調査は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が景況感に大きな悪材料となっていることを示すものになりました。

現状判断DI(季節調整値)は27.4で、前月に比べ14.5ポイント低下しました。東日本大震災直後の2011年4月の23.9以来、8年10ヵ月ぶりの低水準になりました。また下落幅は、前回消費税率引き上げ時の2014年4月の15.6ポイント低下以来の大幅なものとなりました。

景気ウォッチャー調査をはじめとした最速のデータから、新型コロナウイルスの景況感に対する影響などを分析してみたいと思います。


最速データは何を示しているか

新型コロナウイルスの感染拡大は、これまで比較的堅調だった身近なデータにも影を落とすようになってきています。

昨年まで8年連続で前年比増加となった中央競馬の売得金は、2月9日までの累計前年比で+2.3%の増加となっていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2月23日までの累計前年比では+0.4%に鈍化しました。

初の無観客競馬となった2月29日、3月1日は電話・ネット発売のみとなり、3月1日までの売得金・年初からの累計前年比は▲1.4%と減少に転じました。3月8日には同▲2.8%までマイナス幅が拡大しています。

JR東海によると、1月の東海道新幹線の輸送量は前年比+3%の増加と堅調でしたが、2月19日時点の東海道新幹線の輸送量・前年比は▲8%と減少に転じました。国内旅行のキャンセルや出張自粛の広がりを勘案すると、2月の前年比下落率はさらに拡大しそうです。

大相撲春場所は無観客開催となりました。懸賞はかけられていますが、事前に申し込んだ74社中、一時39社が取りやめたそうです。その後数社が戻ったということですが、事前申し込みは1,000本程度になってしまったといいます。

もし1,000本割れとなると、平成25年(2013年)九州場所の735本以来、6年4ヵ月ぶりの低水準になります。初日は83本、前年比▲43.2%でした。

大相撲には神事としての側面も残っています。初日の八角理事長の協会挨拶の中に「古来から力士の四股には邪悪なものを土の下に押し込む力があると言われてきました」とあります。大相撲開催が、邪悪なウイルス封じ込めに一役買ってほしいところです。

百貨店、旅行・交通、飲食などに打撃

新型コロナウイルスの悪影響が最も多く出たのはどの分野・業種でしょうか。景気ウォッチャー調査で分野・業種別データの1月から2月の変化幅を見てみましょう。

現状判断

細かい業種分類での季節調整値がないので、原数値の前月差を見ます。最大の低下は、百貨店の▲32.2ポイントです。大手百貨店5社の2月分売上高の単純平均は前年同月比▲14%程度と、1月分に比べ10ポイントほど悪くなっていることと整合的です。インバウンド需要が落ちていると思われます。

次に大幅に低下したのは、▲25.8ポイント低下した旅行・交通関連です。飲食関連は▲23.7ポイントで、これに続きます。

一方、プラスになったのはスーパーです。+0.7ポイント改善しました。2月分の日経CPINOWのスーパー売上高は、買いだめの動きに加え、うるう年の影響もあり、前年同月比が+4.4%と5ヵ月ぶりの増加になっています。