はじめに
早朝のエンジン始動にはやっぱり気を遣います
高速走行からサービスエリアに入ります。いつもながら人々からの視線を浴びます。おまけに試乗は平日。コロナ禍によっていまだに皆さんがストレスを抱いているところに、一見チャラチャラしたクルマで登場するのですから、視線の中に敵意すら感じることもあります。「ホント、皆さん、これが私の仕事なんです」と言いたくもなりますが、自意識過剰かもしれません。ここは、あくまでも冷静にクルマから降り、ちょっぴり休憩を取ったあと、また走り始めました。エンジンをスタートさせるときは相変わらず、一発目の咆吼は周囲に響き渡ります。ちなみにアイドリングストップからの再スタートでも、軽く爆音です。
シフトを1速にセットして走り出します。ここでオープンにするボタンをプッシュ。時速50kmまでなら走行しながらでもオープンにしたり、閉じたりできます。17秒ほどでオープンとなったところで、クローズドの時との大きな違いに気がつきます。
もちろん初夏の風を全身に受け、なんとも心地いいこともありますが、それ以上にエンジンサウンドを、よりダイレクトに感じ取れるのです。それまで聞いていたオーディオをオフにして、エグゾーストノートだけを楽しみながら、走り出すのです。風に吹かれる快感はすべてのオープンカーに等しく与えられた快感ですが、エグゾーストノートを背後に楽しみながら走れるクルマはあまり多くはありません。
フェラーリやマクラーレン以上にランボルギーニのサウンドチューンは本当に気持ちがいいのです。そのまま高速を降り、ワインディングに突入しても、軽快な走りと風と、そしてエグゾーストノートの三位一体の味わいはずっとついてくるのです。
一通りの試乗を終え、自宅に向かいます。さすがに地元の住宅街に入ったときはルーフを閉じて、帰宅。4メートル道路が入り組んでいるような住宅地ですが、このウラカン、なんとも見切りが良く実に扱いやすく、フロントスポイラーを擦らないようにすれば、何ともフレンドリーな存在なのです。ボディの大きさを見れば決してバカでかいわけもなく、いいえ、むしろコンパクトに感じるほどで、我が家のビルトイン駐車場にすっぽりと収まってくれたのです。
ですがここで問題発生。幅が2メートル80センチほどの車庫に入れ、ウラカンのように長いドアを開けなければいけません。ドアエッジを傷つけないようにそっと開けて、隙間から這い出るようにして車外に出るのです。夏などは汗だくです。そんな苦労をしたあとはこのまま明日の朝までお休みです。ここでその日の走行分、175kmの給油をします。ハイオク23.53L、ということは7.4km/Lの燃費。136円/Lでしたら3200円です。意外なほど好燃費に少し嬉しくなりました。
そして目覚めた朝、これから撮影に出撃です。朝7時、エンジンスタートボタンをプッシュします。グォオオオオオオ~、一段と激しい爆音が住宅街に響き渡ります。ご近所さんのガラスがビリビリと振動しているのが分かります。「また佐藤さん家か……」。こんなやり取りが聞こえてきそうです。やはりこのテのクルマに乗るには、少なくとも都市部ではシャッター付きガレージの戸建てとかは準備できないと、ダメなのかもしれませんね。ご近所さん、申し訳ありません!