はじめに

低速での走りも魅力的

体にピタリと張り付くように包んでくれるシートに腰を下ろします。相変わらずのフィット感に満足しながら目の前にあるイエローのタコメーターを見ます。そしてステアリングの左下にセットされている赤いエンジンスタートボタンを押します。クォ~ンと甲高いサウンドです。

適度なタイト感が極上のフィット感を生み出します

かなりの音量のエンジン音とともに12気筒エンジンが目覚めました。10秒ほどでアイドリングは落ち着き、エンジン音も静かになります。いつも思うのですが、ごくごく普通の都内の住宅街、早朝などにスーパーカーのエンジンを立ち上げるには本当にご近所迷惑かもしれません。実際にマッチ箱のような我が家でのエンジンスタートでは「ご近所の皆さん、申し訳ありません」と、心でお詫びしながらエンジンスタートしているのです。

さっそく走り出します。ステアリングに装備されたダイヤルで走行モードを5つ選択出来るのですが、まず選んだのは、もっとも大人しいモードです。それでも持てるパフォーマンスの高さは、加速するたびにフェラーリサウンドとともに片鱗を見せます。あっと言う間に制限速度です。少しばかりフラストレーションが溜まりますから高速道路に乗り込んだのですが、もちろんここでも0~100km/hの加速が2.9秒ですから、アッという間の快感体験です。

数値だけ見ればEVでもこれぐらいの加速タイムを見せていますし、シームレスな加速も感じることができます。しかし、多気筒エンジン独特のスムーズさとガソリンエンジンならではの加速フィールは、やっぱりモーターとは別物でなんとも心地いいのです。おまけに最高速度は340km/hですから、最高速度が120km/hの高速道路では意味が無いかもしれません。中には、そんな無駄な、と感じる人もいらっしゃるでしょう。でもフェラーリの12気筒エンジンだけが奏でるサウンドと強烈な加速感を全身で感じながらのクルージングは本当に心地いいのです。