はじめに

EV用駆動装置は日本電産がゲームチェンジャーに

モータについては、日本電産に注目です。今のEVは、モータ、モータを制御するインバータ、ギアを一体化しコンパクトにした駆動装置システム「eアクスル」が使われています。

今のところテスラには採用されていないようですが、日本電産は、中国のEVメーカーを皮切りに、欧州、そして、日本の自動車メーカーからも受注を獲得しており、9月末の受注顧客数は当初の会社計画を上回る22社に達しました。

競合するのは、ドイツのボシュやコンチネンタル、日本ではアイシン精機などですが、いずれも内燃機関で動く従来車向け製品で成長してきた企業で、モータについては素人です。したがって、ハードディスクドライブ用精密小型モータで培ったノウハウを持つ日本電産との技術差はかなりあります。

特にモータの冷却技術についての開きは大きく、日本電産は他社の相当先を行っていると考えてよいでしょう。レアアースは高温になりすぎると磁力が落ちるので冷却技術は重要で、同社の競争優位性はかなり高いと思われます。

日本電産は2030年にEV用駆動装置システム「eアクスル」でシェア40%超(EV1,000万台相当)を狙っていますが、達成可能と考えます。

電子部品も商機拡大

EVに使われる電子部品については、例えば上述した「eアクスル」には、積層セラミックコンデンサ(MLCC)が1台あたり2,000個以上使われます。個数としてはガソリン車の約5倍、ハイブリッド車の約2倍です。

駆動系以外の「運転サポート」や「安全」、「情報」系に使われる分を含めてもEVのMLCC使用個数はガソリン車に比べ数倍多く、EVの普及は村田製作所やTDKにとってチャンスです。半導体についても、EV1台当たりの搭載個数はガソリン車の約5倍の2,000個との試算もあります。

車載用半導体の市場規模は半導体市場全体の1割弱に過ぎませんが、2020年代半ばまでの成長率は用途別で最も高くなると予想されています。

EV関連銘柄が2021年相場の主役に

EV関連のコア銘柄を改めて確認すると、パナソニック(6752・東証1部)、日本電産(6594・東証1部)に加え、村田製作所(6981・東証1部)やTDK(6762・東証1部)、ローム(6963・東証1部)、ルネサスエレクトロニクス(6723・東証1部)、信越化学(4063・東証1部)などです。

自動車のEVシフトは歴史的な大転換であり、これらの銘柄は2021年相場の主役となりそうです。

 
<文:投資調査部 斎藤和嘉>

写真:AFP/アフロ

この記事の感想を教えてください。