はじめに
誤った認識による失政リスク
グローバルの視点からのリスク要因の洗い出しとなってしまいましたが、日本国内にも大きな懸念事項があります。
昨年後半から日本国内でもインフレ懸念が生じ、その結果、コロナ対策として巨額の財政出動をしたからインフレになったという財政政策への批判の声を耳にします。そして、今後出てくるであろう政策への批判は金融政策に向かうでしょう。欧米各国がテーパリングから政策金利の引き上げという形で金融を引き締める方向に動けば、金利差の拡大から円安が進行し、輸入価格が上昇することで物価上昇による家計の負担感は高まり、不満がたまっていくでしょう。そうなれば、日本も欧米と同じく金融緩和から引き締めへと政策転換すべきという世論が形成されかねません。
今年の7月には日銀審議委員2名の任期が満了となり、来年の4月には黒田総裁の任期が満了となります。仮に金融緩和に消極的でタカ派の総裁と審議委員という人事が行われれば、インフレ退治のために緊縮財政と金融引き締めをするための布陣が出来上がるでしょう。日本でも欧米のような高水準の物価上昇が継続するのであればまだしも、年央頃までにインフレが落ち着き、グリーンフレーションも生じなかった場合、この布陣の実現は日本経済を想像を絶するレベルで減速させかねません。
これらはあくまでリスクシナリオとして頭に入れておきたいことであり、必ず起きるので投資をやめましょうというのではありません。この数年は株式市場が堅調だったこともあり、リスクシナリオを想定しない投資家も増えている印象も受けていたので、あえてネガティブな話題をピックアップしてみた次第です。