はじめに

スナック菓子大手のカルビーが一大プロジェクトに挑んでいます。47都道府県の“地元ならではの味”をポテトチップスで再現する「ラブ ジャパン」という壮大な企画です。

第1弾が好評のうちに終了し、11月13日からは第2弾がスタートします。“地元ならではの味”をどのように選定しているのでしょうか。完売続出の秘密に迫りました。


第2弾は「辛子味噌」や「鮒ずし」

47都道府県の有名な産品や、知る人ぞ知る味を、“地元ならではの味”としてポテトチップスで再現する、カルビーの「ラブ ジャパン」企画。

第1弾の全17種類の一部

第1弾では、山形県の「山形芋煮味」、秋田県の「しょっつる鍋味」、岡山県の「津山ホルモンうどん味」など、全17種類が発売されました。「ご当地の味を忠実に再現している」ということで、好調な売れ行きをみせました。

今月13日にスタートする第2弾では、おでんなどに付けて食べる辛子味噌の味を再現した愛媛県の「おでん辛子味噌味」、独特の発酵臭のある鮒(ふな)寿司の味を再現した滋賀県の「鮒ずし味」、埼玉県の「やきとん味」をはじめ、全19種類のポテトチップスが発売されます。

きっかけは社長の故郷「いかにんじん味」

カルビーはなぜ、このプロジェクトを立ち上げたのでしょうか。きっかけは、昨年、福島市と共同で開発した「ポテトチップス いかにんじん味」だったと、広報の野原和歌さんは話します。

同社の伊藤秀二社長は福島県出身。震災復興支援のために社長のアイデアで故郷の「いかにんじん」の味をポテトチップスで再現しました。福島県内限定で売り出したところ、予定していた1ヵ月の販売数量約10万袋が、わずか1週間で売り切れ、2度も再販売するほど売れ行きが好調だったそうです。

「『いかにんじん味』は地元の方々に大変愛される商品となり、大ヒットを記録しました。また、普段はポテトチップスをあまりお買い上げにならないお客様に多く購入していただき、ポテトチップスを通じて地元愛の醸成につながりました」(野原さん)

決め手は地元人が“地元らしい”と思う味

普段はポテトチップスを手にしない人も、思わず引き寄せられ、手に取ってしまう“地元の味”。第2弾で発売される千葉県の「さんが焼き味」、栃木県の「しもつかれ味」、兵庫県の「ぼっかけ味」など、他の地域ではなかなか聞きなれない味も多いですが、選定はどのように行われたのでしょうか。

「特産品や郷土料理、B級グルメなどの“都道府県の味”の中から、ポテトチップスに合うこと、地元の方が“地元らしい”と思っていただけることなどを重視して選んでいます」と野原さん。“地元ならではの味”を再現するために、どの味も開発には1年近くかけ、関係者に納得してもらえるまで試作を繰り返しているそうです。

第2弾の全19種類の一部

現在のところ、どの味とも地域限定の販売ですが、売り上げが好調な味は全国展開される可能性があるといいます。来年2月に発売される第3弾の全14種類で、47都道府県の“地元の味”が完結する予定です。

主要生産地である北海道が台風の被害を受け、じゃがいもの供給が不足した結果、ポテトチップスの販売額は2年連続で縮小する見込みです。しかし、地域限定の味が消費者のポテチ愛を醸成できていれば、いずれじゃがいもの生産量が回復した暁には、販売額の急激な回復が期待できそうです。

<文:編集部 土屋舞>

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